ストレスは目に見えないものですが、心身に大きな悪影響を及ぼします。ストレスの原因がわかれば、できる限り対処したいものです。これは筆者の友人・S子に聞いたストレスが引き起こした体調不良のエピソードです。

いつも元気なS子

S子は私の高校時代からの友人です。
いつも元気で明るく、私たちグループのリーダー的存在でした。
S子とは高校を卒業しても友人関係が続き、結婚・出産を経てママ友としてもお付き合いをしてきたのです。

早くに結婚したS子は50代前半で子ども達が独立。定年退職した年上の夫と2人で生活していました。
「子ども達も独立してようやく自分の時間ができたから、第2の人生を満喫するんだ!」と張り切っていたのですが……。

原因不明の体調不良

いつも元気いっぱいだったS子が、頻繁に体調不良を訴えるようになりました。
だるい・やる気が起きない・頭が痛い・食欲がない……相談された私は、「もう若くないし、何かあると困るから」とS子に精密検査を受けるようにアドバイス。
大きな病院でさまざまな検査を受けたのですが、異常はないと診断されたのです。

それでもS子の不調は続き、ついには泣きながら電話をしてくるほどになってしまいました。
これだけ具合が悪いのに異常がないということは、もしかしたら精神的なものかもと思い、精神科を受診するように促しました。
S子は藁にも縋る気持ちで、精神科を受診すると、精神科の先生は思いもよらないことを言い出したのです。

原因はモラハラ夫?!

「大きなストレスが原因だと思います。今のお話を伺っているとご家庭でのストレスが大きいのではないですか?旦那さんの存在がストレスになって不調をきたす、通称・夫源病(ふげんびょう)かもしれませんね。」
夫源病とは、夫の言動が原因で妻がストレスを感じ、溜まったストレスにより妻の心身に生じる様々な不定愁訴のことです。

確かにS子の夫は、モラハラ気質がありました。
自分は何もせず指示ばかりを出し、S子の不調にも気付いているのに何もしないような男でした。
モラハラ夫に話をしても埒が明かないと思った私は、独立したS子の息子たちに相談することにしたのです。

息子たちの決断

父親が母親を苦しめているという現実を知ったS子の息子たちは、できる限りのことをしたいとさまざまな案を出してくれました。

その結果、離婚こそしないものの、体調が落ち着くまで離れて暮らした方が良いという話になり、S子は長男と同居しながら療養することになりました。

回復

別居後、S子はみるみる体調が戻り、本来の明るく元気なS子に戻りました。
訴えていた体調不良もなくなり、長男の面倒を見ることで張り合いも出てきたと言っていました。

反対に、S子にとって大きなストレスだったモラハラ夫の方は、1人で何もできず困り果てているそうです。
S子が医者から夫源病かもしれないと言われたことを報告したときに、息子たちとモラハラ夫は大喧嘩をしているので、誰にも頼れない状態だとか。
自分が今までしてきたことの報いだと思って、少しは反省してほしいと思っています。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K