友人と食事に
ある日私は友人と昔から通っているなじみの店に食事に行くことに。
その店は店長さんがとてもいい人で、料理もリーズナブルで美味しいので気に入ってよく利用していました。
「こんばんはー」
その日はあいにくいつもいる店長さんが不在で、若い女性の店員さんがひとりで店を切り盛りしていました。
「あれ、店長は?」
「あー、ちょっと体調悪いみたいで。今日暇だし、私だけでいいかなって」
「そう……」
その女性は店長の姪らしく、今までお店で数回見かけたことがありましたが、直接話すのは初めてでした。
接客態度に難あり
女性は長い髪をまとめずに料理をして食べ物を運んでいたり、料理を注文したら「あ、それ今日ないんで」とそっけない態度をとったり。はっきり言って接客態度は最悪でした。
店内に他にお客さんはおらず、私たちが注文した料理もすぐできるスピードメニューだったのにもかかわらず、注文した料理が出てくるのが遅く、しかもすっかり冷めきっていました。
「やっぱ店長さんがいる時に来たらよかったね」
「ほんとだね……」
私たちは軽く食事を済ませて、すぐ店を出ることにしました。また店長さんがいる時に来ようと思ったのです。
「カードでお願いします」
「はあーい」
私が差し出したクレジットカードを受け取り、女性はダルそうにお会計をします。
「はい、お客様控えです」
「どうも」
カードの控えを受けとり、私と友人は別の店に行くことにしました。
ひと桁違う!
友人と食事をして帰宅したあと、そのお店から何度も電話がかかってきていたことに気付いたのはすっかり深夜になってからでした。
すっかり寝る支度を済ませていた私は、おそるおそる電話を取りました。
「えっと……どうしました?」
「あの、カードの決済額の入力間違えててー」
電話をかけてきていたのは、例の女性でした。
「え? ちょっと待ってくださいね」
慌てて財布の中にある、カードの控えを確認しました。するとカードの決済額を一桁多く入力され、5千円が5万円になっていたのです。