人は、「行ってはいけない」などと禁止されると、どうしても興味が湧いて、気になってしまうものですよね。子供ならば、なおさらのこと。
これは、私の幼少期、果樹園を営む祖父母の家での実体験のお話です。
これは、私の幼少期、果樹園を営む祖父母の家での実体験のお話です。
暗くひんやりとした地下室で見たもの
壁面を頼りに恐る恐る降りると、次第に暗闇に目が慣れて、気づけば階段を一番下まで降りていました。
壁に手を残しながら、首を伸ばして部屋の中をのぞくと、狭い壁面いっぱいに、斧やカマなど、見たこともない刃物がズラリと見えました。
そしてさらに、私の目をとらえたのは、床に広がる、黒々とした血のような痕でした。
謝罪、そして衝撃の事実
私は階段を駆け上がりました。
あまりの恐ろしさに、記憶が途切れ途切れになり、気づくと居間の掘りごたつにいた私は、罪悪感から、泣いて祖母に謝ったのです。
すると「ユウは夢でも見たのか?」泣く私の背中を撫でながら祖母は続けました。
「ずっと婆ちゃんと一緒にテレビ見てただろう?」と。
夢ではない
ひんやりとした石階段の壁の感触、あの地下室の独特な臭い。リアルな体験として、感触が残っていたので、夢ではありません。
ついさっき、急いで脱いだ長靴も、玄関にバラバラに脱ぎ捨てられていたのですから。
後に、その地下室は、危険な農具の保管と、獲った猪や鹿などをさばくために使っていた事を知りました。
時間にして数分の出来事だったと思いますが、私は、同時に2ヵ所に存在していたのでしょうか?
幼い頃の私に起きた、今も説明がつかない出来事です。
本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Mie.W