友人から聞いた話です。その日かなり疲れ切っていた友人は電車で帰宅中、ぐっすりと眠ってしまいました。ふと目が覚めると見たことがない風景が。降りる駅を通り越し、知らない駅まで電車に乗ってしまって……?

なぜか戻ってきたカバン

さて、その後の友人ですが、次の駅で反対方面の電車に乗り換え自宅の最寄り駅まで帰ってきました。しかし、定期券もカバンに入っていたため改札を出ることができません。

駅員さんに事情を話すと「あ、落とし物ですね」と、駅長室の奥から友人のカバンを持ってきてくれたのです。ものすごく驚いた友人。「とある男性が、カバンに入っていた定期券を見て、ここまで乗り換えて届けてきてくれたようです」と駅員さんが教えてくれました。

鉄オタに感謝

友人のカバンをひったくった犯人は、ホームに逃げた後すぐに男性にぶつかりカバンが散乱。そこまでは友人は見ていたようです。その後、カバンと散乱した荷物を拾う中で定期券を見つけた男性は、電車好きを活かした知識で乗り換えを駆使し、友人よりも先回りして最寄り駅まで届けてくれたのでした。

男性の咄嗟の行動でその日のうちにカバンを取り戻した友人。犯人は男性とぶつかった際、捕まると思ってカバンを置き去りに逃げたようで、カバンの中身は全て無事でした。残念ながら、カバンを届けてくれた男性が名前を名乗らなかったらしく、お礼はできなかったそうです。

本筋とは違うかもしれないけど……

親切な男性でした。本来ならば男性が第二の犯人として疑われてもおかしくないため、カバンは警察に届けるべきだったかもしれません。すぐに奇跡のような行動をしてくれた男性には感謝しかないと言っていましたが、カバンはしっかりと身に着けるようにすると言っていました。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:鈴木まさ美