電車の中で、お年寄りや身体の不自由な人がいれば進んで席を譲るという人も多いのではないでしょうか。しかしいきなり高圧的に席を譲れと言われると、納得できないこともあります。今回は私が経験した電車の座席トラブルのお話です。

まさかの発言

「あのー、2人で座りたいんであなたの席も譲ってもらえませんか? 」
「…… はあ? 」
私は耳を疑いました。
「だからー、早く立って席譲ってって言ってんの」
次は娘の方が、失礼極まりない調子で言いました。

「いやいや、無理です」
なんで遊んで帰って来た人に、仕事帰りの私が席を譲らないといけないのかと思い、私はお断りしました。
「何この人、おかしいんじゃない? 」
娘の方が不服そうに大きな声で言ったため、周りの人もチラチラとこちらを見て私たちの様子を伺っています。

私は急に恥ずかしくなり、やっぱり譲った方がいいのかと一瞬だけ心がぐらつきました。

「いや、おかしいのそっちでしょ。交代で座ればいいじゃん」
突然、近くにいた部活帰りらしき男子高生がそう言いました。すると周りの人もうんうんと頷いています。
「あ、あんたには関係ないでしょ! 」
「関係ないけど、いつまでもぐずぐずしてるんだったら俺が座りたいからどいてよ」
「はあ!? ありえない! 」
怒り出した母親に、他の乗客からも冷たい視線が。

「わ、わかったわよ! 」
母親と娘は顔を真っ赤にして、次の駅で降りて行きました。私は男子高生にお礼を言い、すっかり眠気もさめたので席を立ちました。

普段であれば席を譲るのは構わないのですが、さすがに今回はありえないと思ってしまった一件でした。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子