「お客様、このチケットは……」
ある年の夏、長期休暇に沖縄へ一人旅に出かけることにしました。移住している友人がいたので、お世話になる予定でした。
チケットは早めに購入していたので、時間通りに空港に向かいました。
手続きをしようとすると、係の方に呼び止められたのです。「お客様、このチケットは『関西国際空港発』になっています。ここは『大阪国際空港』なんですが……!」
そこで顔面蒼白!
関西のこの二つの空港を間違えると、とんでもないことになるのです!
とにかくタクシーで向かうが……?
『大阪国際空港』と『関西国際空港』、名前は似ていますが、場所はかなり離れていて、車で移動しても1時間ほどかかります。
わたしはすぐにタクシーに乗り込み、関西国際空港に向かいました。搭乗締め切りまで、あと1時間半と微妙……。1時間少しで到着すると、空港ロビーに私の名前が響き渡っていました。
「〇〇さま!! いらっしゃいますでしょうかーーー!!」グランドスタッフの方が私を呼び続けていたのです。
名乗り出ると、「とにかく走って向かいましょう!」と2人で搭乗手続き場所まで猛ダッシュしました。
がっくり……
ここに辿り着くまで、数々の試練を乗り越えてきた私でしたが、残念無念。
あと一歩、間に合いませんでした。
ぜーぜーと乱れる呼吸とあちこち痛む足を引きずって、まさに放心状態。
それにしても、グランドスタッフの方はヒール靴なのに、素晴らしい走りっぷりでした。
息ひとつ乱さず、その後の業務に颯爽と戻っていく姿は、つくづくカッコよかったです。
ということで、最初のチケットは完全に無駄になり、新たにチケットを購入しました。
出発は6時間先だったので、ベンチの片隅でコーヒーを飲みながら、抜け殻のようになって過ごしました。
沖縄にようやく到着したのは、すっかり夜。もう全ての意欲を失ってしまいました。(財布の中もすっからかんで意欲なし……)
チケットを事前に確認すること。ほんの些細なことを怠ったために、ドタバタ旅行となってしまい、大反省でした。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Itnライター:田中つぐみ