嫁は留守番!?
Fさんがささっとお化粧を直して居間に戻ると、待ち構えていた姑がFさんに何かを手渡してきました。
「じゃ、私たちは食事してくるからFさんは留守番お願いね。はい、これがあなたの晩御飯」
「え?」
「それで十分でしょ。おいしいわよ、カップラーメン」
手元を見ると、確かにカップラーメンがひとつ。Fさんは驚いて脱力しかけました。
「おい母さん! せっかく帰って来たのにそれはないだろ! ごめんねFさん、一緒に行こう」
舅がたしなめますが、姑はふくれっつらです。
「嫌よ、私は家族水入らずで食事に行きたいの!」
「はあ!? 何言ってんだよ母さん! 俺は嫁いびりさせるために帰ってきたんじゃないんだぞ!」
「それならあんた1人で帰ってきたら良かったのに。なんでこの人連れてきたの?」
「夫婦だから当然だろ!」
姑はFさんの方をチラッと見て、しっしっ、と追い払うように手を振りました。
「いい加減にしろ!!! もういい、行くぞ」
旦那さんはまだ荷解きをしていない旅行鞄を手に取り、Fさんの腕を掴みました。
「な、なに?」
「帰るんだよ、こんなとこにいたくないだろ」
「わかった……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
制止しようとする姑の手を振り払い、旦那さんとFさんは義実家を出ました。
そしてその日のうちに飛行機のチケットを変更し、結局とんぼ返りをすることに。
その後、旦那さんもFさんも義実家とは疎遠になり、姑から「帰ってこい」という電話があっても全く無視しているとのことです。
3人で食事をしたかったという気持ちもわからなくはないですが、それならばそれ相応の食事を留守番をするFさんのために用意しておいてくれたらよかったですね。せっかく来てくれた人にひどい仕打ちをした罰でしょう。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:齋藤緑子