親しい間柄なら、少額のお金の貸し借りにあまり抵抗がないという人もいることでしょう。しかしその時は少額でも、積もり積もれば相当な額になってしまうこともあります。
今回は私の友人のAさんが経験した、お金の貸し借りにまつわるトラブルのお話です。

お金を返さないママ友

当時Aさんは、子どもが同じ幼稚園に通うママ友たち数人のグループで、よくランチや買い物などに出かけていました。

特に子どもを幼稚園に送った後で、近くのファミレスやセルフサービスのカフェで集まってお茶をすることが多く、Aさんもそれを楽しみにしていました。

ただママ友の中のひとり、かなりの確率で「持ち合わせがない」「財布を持ってくるのを忘れた」と言って周りのママ友に小銭を借りるCさんが少し気になっていました。

セルフサービスのカフェならコーヒーが1杯300円もしないので、AさんもCさんに貸してと言われて貸したことが何度かあります。

しかし毎回誰かに借りているのに、1度も返してくれた試しがないのです。周りのママ友に聞いても、Cさんからお金を返してもらったという人は一人もいません。

「Cさんっていつもお金持ってきてないよね」
「うん、財布ないのわかってたらお茶に来なかったらいいのにね」
「でもひとりだけ誘わないわけにもいかないし……」
ママ友たちはCさんのいないところで、そんな話をして頭を悩ませていました。

新メンバー登場

そんなある日、ママ友グループに新しいメンバーが参加することになりました。

その名もMさん。最近幼稚園の近くに引っ越してきて、子どもが同じクラスになったことで親しくなった女性でした。

「ねえ、今日もお茶行かない?」
「うん、行く行く!」
誰かがお茶に行こうと誘うと、一番に「行く」というのがCさんでした。

その日はMさんも初めてママ友のお茶会に参加することになり、皆で連れだってセルフサービスのカフェに行くことに。

「ねえ、私今日持ち合わせがなくて~、悪いんだけどMさん、300円貸してくれない?」
レジ前でさっそく、CさんがMさんにそう言いました。

「いいわよ、はい」
Mさんはお財布から300円を取り出し、にっこり笑ってCさんに渡します。そのお金は返ってこないのに…… と、他のママ友たちとAさんは思わず顔を見合わせてしまいました。

するとMさんの口から、意外な言葉が飛び出しました。

意外な発言

「で、いつぐらいには返してくれる?」
「…… え?」
Mさんの発言に、Cさんは驚いたのか硬直してしまいました。
「私ね、家計簿つけてて…… 月末にきっちり合わないと気持ち悪いの! 次会った時に300円、よろしくね!」
あっけらかんとした様子のMさんをよそに、Cさんの顔がだんだん真っ赤に染まっていきます。

「や、やっぱり今日はいいわ、返す!」
Cさんはそのままコーヒーを買わずに、店を出て行ってしまいました。

その後、他のママ友たちもMさんを見習って「家計簿つけてるから」と言ってCさんのタカリ攻撃をかわすようになり、Cさんは誰もお金を貸してくれないためか、だんだんお茶にもついてこなくなりました。

Aさんたちは、今までCさんに貸したお金は勉強代だと思うようにして、それからは少額でもママ友同士でのお金の貸し借りは一切しないようにしたそうです。

親しい間柄だからといって人にタカったり、お金を借りっぱなしにしたりするのはやめた方がいいですね。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:齋藤緑子