人を怖がらせることにどんな意味があるのかわかりませんが、『人を怖がらせてなんぼ』と勘違いしている人は何かと滑稽なものです。これは筆者の体験談です。トラック運転手として働いていたときに、首をかしげるほど行動が理解できなかった先輩がいて……?
人を怖がらせることに命を懸けるH先輩
私がトラック運転手をしていたとき、同じ会社にHという先輩がいました。このH先輩は、とにかく『人を怖がらせること』に命を懸けている人で、まるで一昔前のトラック映画に憧れているのかと思うほど、イキっている人でした。
●わざと派手な服を着る
●ジャラジャラしたネックレスやブレスレットをつける
●サングラスは必須
●言葉遣いはあらくれ者映画と同じ
誰に・何に対して自分を大きく見せたいのかは分かりませんでしたが、トラックの運転の仕方も大げさなほど偉そうな姿勢で運転をしていました。
H先輩とつるんで配送へ
ある日、私はこのH先輩と一緒に食品会社の配送の仕事をすることになりました。工場から製品を積み込み、コンビニエンスストアの配送センターへ持っていく仕事です。
コンビニエンスストアの配送センターには、各食品会社のトラックがたくさん集まります。順番を待って納品口へトラックをつけて荷下ろしをするのですが、ぎりぎりの隙間へトラックを入れなければならず、究極の車庫入れのような感じでした。
H先輩はこの日もイキって運転をしていました。高速では私よりも必ず先に行かないと気が済まず、運転席を見るとサングラスをかけ、寒い日なのに窓を全開にして腕を出して運転していました。
怖がらせるはずが一転……
センターに到着してしばらく待つと、H先輩のトラックに声がかかり、納品口へつけることになりました。
H先輩はいつものように格好をつけて片手で車庫入れを始めました。しかし、両隣は大型トラック。格好つけてバックをしていたところ、左側のトラックのミラーにぶつけてしまったのです!
ちょうど相手のトラックの運転手が乗っていたため、すぐに降りてきました。H先輩は自分がぶつけたにもかかわらず「おぅ! ずいぶん曲がって停めてんじゃねぇかよ!」と文句を言いながら相手の運転手のところへ行きました。