公共交通機関を利用するときは、最低限のマナーを守りたいもの。しかし中には自分勝手な振る舞いをする人もいますよね……。これは筆者の友人A美が目撃した電車内のエピソードです。
怖そうなお兄さん
私が立っていた前の席には、少し強面の身体の大きいお兄さんが座っていました。怒鳴る高齢男性とギャン泣きする赤ちゃん、そして謝り続けているお母さん……。そんなカオスな状態を見るに見かねたのか、席をスッと立つと高齢男性の前に歩いて行ったのです。
「あなたの声が怖くて泣いてるんじゃないですか?」
その態度は実に紳士的。ただ、失礼かもしれませんが顔は超強面。身体も鍛えられていて、格闘技をしているような強さを感じました。
言い方は優しく穏やかでしたが、何とも言えない威圧感があるのです。高齢男性はタジタジの様子で、次の駅に着くと逃げるように降りていきました。
優しい心遣い
高齢男性が降りても、赤ちゃんはまだ泣いていました。あれだけ大きな声で怒鳴られれば相当怖かったはず。お母さんも怯えたような表情をしていましたが、怖そうなお兄さんはお母さんに「ここどうぞ」と席を譲り、お母さんの持っていたベビーカーを畳んで、近くのドア付近に立てかけてくれたのです。
次の駅に着くと、そのお兄さんは何も言わずに電車を降りていきました。ほんの一瞬の出来事でしたが、怖そうなお兄さんの優しい心遣いに、何とも言えない気持ちになりました。
まとめ
怖そうなお兄さん……見た目からはとても想像できない紳士的な態度で、傍若無人な高齢男性を撃退してくれました。
世の中がみんなあのお兄さんのように優しい気持ちで接することができたら、トラブルなんて起こらないんだろうなぁとしみじみ思った出来事でした。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:RIE.K