家族だからこそ、夫婦だからこそ、相手を思いやる気持ちは忘れてはいけないはずです。相手を見下したり軽んじたりしては、思いもよらぬ未来が待っていることも……。これは筆者の友人F美の結婚生活でのエピソードです。

モラハラ気質の夫

私の夫は、自分が一番じゃないと気が済まない人です。家の中では自分が王様。私だけではなく息子たちにも「自分を敬え」という態度をとる人でした。

機嫌の良いときはごく普通の夫・父親なのですが、少しでも機嫌を損ねることがあると、激変します。
口ぐせは「俺が稼いできてやってる」「誰のおかげで生活できてるんだ」の2つ。夫の機嫌を損ねないように、息子たちでさえ、気を遣わなければならないような息苦しい生活でした。

離婚を決意したものの……

息子たちが大きくなるにつれて、私の頭の中から『離婚』の文字が離れなくなりました。ただ経済的には無理があると感じ、私は自分で仕事をしてお金を貯めることにしたのです。

息子たちは育ちざかり……食費・学費などが思ったよりお金がかかるようになり、ますます離婚が現実的ではなくなってしまいました。とにかく息子たちが落ち着くまでは頑張ろうと、いつ離婚しても良いように、準備だけをしておくと心に決めました。

わかっていてくれた息子たち

早くに結婚・出産をした私は、40代の半ばで息子2人が独り立ちしました。息子たちがいなくなると、夫のモラハラは一気に加速。ちょうど仕事が忙しく、大変だった時期と重なったせいか、毎日のように暴言を吐かれるようになっていったのです。

そんなある日、夫が仕事でいない時間を見計らって、息子たちが訪ねてきました。息子たちは夫のモラハラを嫌と言うほど見てきたので、私に「離婚した方がいい。このままだとお袋が壊れる。」と言いに来たのです。

離婚の準備はしているものの、まだ思うように貯金ができていないことを伝えると「3人でやればなんとかなるんじゃない?」と長男が助け舟を出してくれました。

離婚の申し出

息子たちはそれぞれ1人暮らしをしていましたが、3人で住める家を探してくれると言うのです。そうなってからの話は早く、家を決めて、夫に離婚の意思を伝えました。

夫は『離婚』という言葉にものすごい反応を見せました。「上等だ! 俺がいなくても生活できるんならやってみろ!」と激高して啖呵を切ったのです。

そこに登場したのが2人の息子たち。「お母さんの面倒はぼくたちが見るから。お父さんは1人でも生きていけるよね?」と冷静に離婚届を渡してくれました。