これは私がバックパッカー旅をしていたときの話です。
意気揚々と舞い降りた中南米の国で私を待ち受けていたのは、まさかのバストラブルでした。

あれ? ちょっと待った!

バスも空いたので、市内までどれくらいかかるのか調べようと携帯を取り出そうとしました。
そのとき、わずかな異変に気付いたのです。

「あれ? 待って……なんかカバンが2cmくらい開いてる。」

たった2cmほどだったのですが、体の前面で抱えていたジッパー付きのカバンのチャック部分が少し開いていたのです。
きっちり閉めてなかったかな? と思いつつ、カバンから携帯を取り出そうとすると、

「……ない」

入れていたはずの携帯がないのです。
ポケットも、バックパックも他の入れそうな場所も全部確認しましたが携帯がないのです。
さらに衝撃的なことに気づきます。

「待って? お財布は?!」

普段使い用で使用していたお財布がないことにも気づきました。
ここでハッキリ気付いたのです。
さっき2cmカバンが開いていたのは、スリに遭ったからということを。

Wi-Fiはほぼ全滅の国で大惨事

携帯は実は2台持ってきていました。
中南米では、iPhoneを使用していると腕ごと持っていかれるという話を聞いたことがあったので、普段使い用にと出発前にAndroid携帯を購入していたのですが、盗まれたのはこのAndroid携帯でした。
たった2週間ほどでさよならすることになるとは……
しかも、現地ではAndroidを基本使用していたので、市内の宿の住所やら予約情報などすべて失いました。

そしてお財布も、不幸中の幸いで2つに分けて持ち歩いていたのですが、先ほど空港でキャッシュアウトした3万円ほどの現金とクレジットカード、ダイビングのライセンスカードなどを失うことに。
ここで一番厄介なのが、この国は電波が発達しておらず、ホテルなどでもWi-Fiがほぼ使用できないこと。
Wi-Fiを使用するには、専用のカードを購入し大きい公園でWi-Fiを拾わなければならないのですが、カードを使ってもほぼWi-Fiは拾えない環境で、繋がっても数分ほどで接続が切れてしまいます。
そんな中、3時間ほどかけてやっとの思いでWi-Fiが繋がった瞬間に、予めスリに遭ったことやクレジットカードを停止してほしいことをまとめて作成しておいたLINEを親族に1本送るのが精一杯でした。(何度トライしてもすぐ切断されてしまうため。)

ひと区間乗車の意味はこれか!

スリに遭った私ですが、ここで気付いたことがあります。
なぜひと区間だけあんなに乗車していたのか?
ひと区間なら歩いたほうが早いのでは? と思ったのですが、これが作戦だったんですね。
わざとぎゅうぎゅうの状態を作り出し、その隙にスリをおこなう。
まんまと犯罪手口に引っかかってしまいました。

その日は凄まじく落ち込んで、日本に帰りたくなりました。しかし、その後の旅は楽しめたので良かったのですが、交通費をケチらないでタクシーを利用すべきだったなとは反省しました。

みなさんも、中南米など危険な国を旅する際にはスリや強盗に気をつけてくださいね。

ltnライター:なつみん