趣味のバレエ鑑賞を通して知り合った、年上女性T。知人女性はある日、Tに「彼氏を紹介するわ」と言われて、Tの家にお邪魔することになりました。
美しく聡明なTの彼氏なら、きっと素敵な男性のハズ。そんな期待を抱く知人女性でしたが、そこで何が起きたのかTから聞きました。

恐怖のティータイム

しかしTは「なんて嘘よ」と言い出すことも無く、そのままティーセットを用意しました。
「ね? 彼女、とっても可愛いでしょ? バレエのワークショップで出会った、大切なお友達なの! ほら、彼もあなたのこと、魅力的だって褒めてるわよ!」

物言わぬマネキンと、まるで本当に会話をしているが如く、Tは笑顔でマネキンに話しかけていました。
知人女性は目の前で繰り広げられている状況を理解出来ないまま、Tが用意してくれたケーキをフォークでつつきました。どうしても、今のメンタリティではケーキを食べる気分にはなれなかったのです。

しかしそんな知人女性の様子に気付くこともなく、Tはフォークにケーキを差して「あーん」と言って、マネキンの口元に運んで行きました。
勿論、マネキンがケーキを食べることはなく、口周りにベッタリとクリームが付くだけです。

友情の瓦解

それを見た途端、知人女性は我慢できなくなり、椅子から立ち上がるとTと彼氏(?)にこう告げます。

「……用事を思い出したので、帰ります!」
Tは何か言っていましたが、知人女性は「此処にいてはいけない」と本能的に悟り、必死でマンションから脱出しました。

そしてガムシャラに道路を走り、家へと急ぐ知人女性。一刻も早く、あのマンションから離れたくて堪らなかったのです。
そして家に到着した途端、布団を被って知人女性はと恐怖と悲しみで涙を流しました。
「なんで、なんでなのTさん……」Tのことが本当に好きだったからこそ、この一件は彼女にトラウマとして残っているそうです。

これを機に、TからLINEをブロックされた知人女性。逃げ出すような態度が気に入らなかったのかもしれません。バレエのワークショップにも近づかなくなりました。

Tが、どのような意図であのような振る舞いをしたのかは分かりません。様々な趣味嗜好がある方がいるのは理解できますが、知人女性はいまだにショックを受けているそうです。

ltnライター:六条京子