その輝きに魅せられ、指にはめた途端、彼女にとある変化が起こります。
今回は美しくも妖しいジュエリーにまつわる体験談をお届けします。
掃除のお手伝い
知人女性は久しぶりに、御年78歳になる祖母の家を訪れました。
足腰の弱った祖母の頼みで、物置の掃除を行うことになったのです。
亡き曾祖父が県会議員だったこともあり、祖母の家は立派な造りで、倉庫には宝飾品を始めとした高価な品が沢山置いてありました。
宝探し気分で知人女性が掃除を行っていると、木箱が床に転がり落ちて、中から青い光が放たれます。
「一体、なんだろう?」
知人女性が木箱を拾うついでに中を覗き込むと、そこには素晴らしい物が入っていました。
輝きに魅せられて……
木箱には、それはそれは見事な大粒のサファイアの指輪が入っていたのです。
深海を思わせるブルーの輝きに、知人女性は恍惚の溜息を漏らし、気が付けば反射的に指輪を指にはめていました。
しかし、その途端、彼女は胸がズッシリと重くなるのを感じていました。
まるで深い海の底に引きずり込まれたかのように、一切の希望が消えて、目の前が真っ暗になったかのような絶望が身を襲ったのです。
「何故かしら? この場から動けない……」
指輪を身に着けたまま、呆然と物置で過ごす知人女性。すると急に、外から誰かが物置の戸をノックしてきました。
ルーツ不明の指輪
物置に入って来たのは、知人女性の祖母でした。あまりに長時間、彼女が物置から出てこないので心配して様子を見に来たのです。
祖母は知人女性の指にはめられた指輪を見るなり「やめなさい!」と言って、物凄い勢いで指輪を抜き、木箱に再びしまいました。
そこで知人女性は、祖母の口から衝撃の事実を知ります。
「きちんとしまってあったハズなのに、やっぱりこの指輪には何かあるわ……。この指輪はね、我が家に昔からあった呪いの指輪なの。身に付けた者に何かしら不幸が舞い込んだり、売りに行こうとすると事故にあってしまうから、こうして我が家で封印してあるのよ」
その話を聞いて「まさか」と思う反面、知人女性はさっき感じた絶望を思うと、やはり指輪には呪いが込められていると思わずにいられませんでした。
また、いつからこのサファイアの指輪が家にあったのか不明とのことで、それがまた気味の悪さを掻き立てます。
「持ち主が次々と不幸になる」と謳われたホープダイヤモンドのように、その美しさで人を魅了し、破滅に導くジュエリーの呪いは確かに存在するのかもしれませんね。
ltnライター:六条京子