私の友人が勤める高級化粧品売り場で、友人の先輩が盛大にやらかしたお話です。人は話してみないとわからないものですね。

安っぽい客は無視

美容部員の友人は、デパートの高級化粧品売り場で働いています。友人は自社の化粧品が好きで、どんなお客様でも分け隔てなく接客します。しかし、友人の先輩はそうではありませんでした。

先輩は「ブランドもののバッグを持っているお客様は積極的に接客しなさい」と言います。カジュアルな見た目だったり、メイクアイテムを見ているだけだったりするお客様には、声をかけなくていいとも言います。

さらに「安っぽい客は何も買わない」と言い、特に若い女性客には、まるで無視するかのような態度をしています。

うちの客層ではないお客様

ある日、先輩がスルーしそうな若い女性客がやってきました。ファストファッションに布製のトートバッグを持ち、かなりカジュアルな装いです。
友人はうちの店には合わない客層だなと思ったそうです。

若い女性客は話しかけて欲しそうな雰囲気を醸し出していましたが、先輩は一切無視。
友人が話しかけようとしたら、先輩に制止されたのでした。
そのあとすぐ、見るからにお金持ちそうな、客層どストライクのマダムが来店。

先輩は若い女性客の前を素通りし、マダムに満面の笑みをたたえて話しかけました。
友人は若い女性客が怪訝な顔をしたのが気になったので、すぐに話しかけたそうです。

先輩の苦痛に満ちた表情

「お客様、すみませんお待たせしました。いらっしゃいませ」
「あ……すみません。スキンケアを全部揃えたくて来ました」

なんと、クレンジングからクリーム、スペシャルケアアイテムをすべて購入したいとおっしゃるではありませんか。友人は丁寧に接客し、総額10万円近い会計を行いました。

先輩はなれなれしく話し込んで、何も買わないマダムの自慢話をずっと聞いていました。
先輩は苦々しい顔で友人を見ていたらしく、ものすごく悔しそうな表情が忘れられないと言っていました。

もともと先輩のやり方に疑問を持っていた友人。今回はたまたま購入してくれましたが、購入しなかったとしても、興味を持ってお店に来てくれたお客さんを大切にしたいと思っていました。
この出来事をきっかけに、先輩の文句は無視して、全てのお客さんに丁寧に接していこうと固く心に誓ったそうです。

ltnライター:鈴木まさ美