悪質なあおり運転
ある日友人のY子は、子どもと一緒に近くのショッピングモールへ買い物に行きました。駐車場から車を出すときに左側から車が来ていたのですが、駐車場はいっぱいだったため、てっきり自分のスペースに停めたい車なんだろうと思ったそうです。
Y子が急いで車を出すと、どうやら出庫する車だったようで、大きなクラクションを鳴らされました。しかしY子はぶつかったわけでもないので大丈夫だろうと、そのまま車を走らせて幹線道路へ出庫しました。
クラクションを鳴らした車はよほど腹が立ったのか、執拗にY子の車の後ろへ張り付き、パッシングをしたり蛇行運転をしたりと悪質なあおり運転を繰り返す始末。バックミラーには何かを怒鳴っている若い男性が映っていました。
自宅に着いちゃうのに……
Y子の自宅はショッピングモールから約10キロほど。その間も後続の車は諦めることなくずっと嫌がらせをしてきたそうです。子どもは怖がるし、もうすぐ家にも着いてしまう、自宅がわかったら何をされるかわからないと自宅手前の道路で駐車しました。
車が止まったと同時に相手の運転手が降りてきて、窓ガラスを叩き、大きな声で怒鳴り始めたそうです。どうして良いのかわからずY子が怯えていたところ、思わぬ救世主が登場しました。
思わぬ救世主とは?
Y子の前方から歩いてきたのは、隣に住むN君でした。N君の母親とY子は仲が良く、N君とも顔見知り。ちょっとやんちゃなN君でしたが、Y子の息子と一緒に遊んでくれたりみんなでご飯を食べたりと近所づきあいをしていたのです。
大きな怒鳴り声を聞いて家から出てきたというN君。派手な服装に金髪、口には煙草をくわえた『いかにも』な出で立ちでしたが、N君がいきなり「お前何やってんだよ!」と大声で怒鳴ったのです。
ペコペコする運転手にスカッと!
N君の怒鳴り声に驚いたY子でしたが、もっと驚いたのはさっきまで鬼のような形相で怒鳴り散らしていた運転手が、いきなりN君に対して「こんちわっす!」っと頭を下げたことでした。
聞けばあおり運転の運転手は、N君の後輩で、N君には頭の上がらない『パシリ』のような存在だったそうです。N君とY子が知り合いだとは思わず、Y子を脅かしていたときにN君が現れ、あおり運転の運転手はさぞ驚いたことでしょう。
その後、運転手の若者はY子に誠心誠意謝罪をし、N君にどつかれながら帰って行ったそうです。N君の見た目はちょっと怖いですが、Y子にとっては頼もしい救世主に見えたことでしょう。
ltnライター:RIE.K