豪華なデパ地下弁当
いつも何かと理由をつけてうちにやってくる姑。今日はデパートに行ったと、デパ地下の豪華なお弁当を買ってきたのです。夫も子供たちも大喜びで姑を迎えます。
「さぁみんなで食べましょう」といって、弁当を配る姑。
しかしどうみても1個足りないのです。
「はいどうぞ♡」と配っていき、私の分だけありません。
「あら、足りなかったわね。あなたの分も買ったのよ。」
「車かしら。ちょっと見てくるわ」と言って、車へ向かいました。
姑が来てから1時間半ほど経っていたので嫌な予感がしたのですが……。
姑が戻ってきました。
明らかにヤバイ香りのお弁当
「あったわよ♡ はい、どうぞ」と、私に車に置き忘れたお弁当を渡しました。
ツンと鼻をつくニオイ。夏の炎天下で1時間以上も車の中にあったお弁当は、食べられる状態のはずがありません。
「あら、ちょっと痛んじゃったかな? でもあなたなら大丈夫よ♡」
と言って食べるよう促します。夫はすごく嫌な顔をしていましたが、子供たちがいる前だったので押し黙っていました。
私は「せっかくですがすみません」と言って、食べるのを拒否しました。
すると、
「ママだけお弁当ないの? 私のあげる!」
「僕のも」
「俺も」
なんと、子供たちと夫が私に弁当を分けてくれたのです。それを見た姑はイライラしながら私を鬼の形相で睨みつけてきました。私は家族の優しさに触れ、こみ上げる涙。久しぶりにスカッとしたので、調子に乗って言いました。
みんなでスイカ食べようか!
「うん、食べる食べるー♡」
「私もー」
「俺もー」
家族は大盛り上がり。そして姑はニオイもだめなほどスイカが大嫌い。姑は怒り心頭で、
「もうあんたたちには何にも買ってこないから!」
と言って、バタンとドアを閉めて出ていきました。夫が何も言い返せない情けなさは多少残りましたが、子供たちがハッピーならOKです。私は今でもあの時の姑の顔を思い出してほくそ笑んでいます。
ltnライター:鈴木まさ美