さまざまな人たちが集まる電車内。人の集まるところにドラマは生まれます。筆者の知人Aさんは子連れで混雑する電車に乗り込みました。これまで電車には嫌な記憶があったというAさんですが、今回はほっこりと優しい気持ちになれたようです。いったい何がAさんに起きたのでしょうか?

子連れの電車はドキドキ

Aさんは1歳の子どもを育てるママ。いつもは混む時間帯の電車は避けていたのですが、今日は病院の予約に間に合うように混雑する時間帯の電車に乗らなければなりません。

「誰かに迷惑をかけないかな……」

まだ1歳の子どもなのでTPOに合わせた行動なんてできるはずもなく、泣き出したり騒いだりして他の人に迷惑をかけることがないかAさんはドキドキです。

ベビーカーは場所を取ってしまうので、抱っこ紐で子どもを抱き電車を乗り切ろうとAさんは計画していました。

つぶされちゃう! 混んでる電車

Aさんが電車に乗り込むと、Aさんが予想していた以上に電車内は混み合っていました。ですが、Aさんは運良く端っこをゲット。これで壁にもたれながら少しは楽に目的地まで行けると安堵していました。

しかし、徐々に乗客は増えていき、電車内はさらに混んでいきます。幸運なことに子どもは抱っこ紐の中ですやすやと眠っていましたが、これ以上混めばつぶれてしまうかもと思うような混雑ぶりでした。

何事!? いきなり壁ドン

ドンッ!!

電車の端で小さくなりながら過ごしていると、突然Aさんの頭の横に手が伸びてきて壁ドンされました。壁ドンしてきたのは若い男性です。

何が起きたの? 何をされるの? と身構えてしまったAさんでしたが若い男性は次のように言いました。

「すみません。お子さんがつぶれちゃうかと思って……」

男性は手で自分の身体を支え、Aさんの子どもがつぶれないようにスペースを作ってくれていたのです。

ありがとう! 無事に到着

男性が空間を広げてくれていたおかげで、Aさんの子どもは目を覚ますこともつぶれることもなく無事に目的地までたどり着くことができました。

「ありがとうございました」

お礼を言って電車を降りたAさんは、人の温かさに触れて自分も温かい気持ちになりました。そして自分も誰かに親切をして、この温かい気持ちを連鎖させていきたいと思ったそうです。皆がこんな気持ちになれば、優しい世界ができそうですよね。

ltnライター:安藤こげ茶