暑い日が続いていますね……。
真夏日に少しだけゾッとする話をお届けしたいと思います。
霊感が強い人は、普通の人には見えないものが見えてしまうみたいです。

霊感のない私は何も見えないけど

何度か乗っているうちにバスの運転手さんと仲良くなりました。
私は車も自転車も持っていないので、移動手段はもっぱらバスです。
買い物に行くために、大体同じ時間帯のバスに乗り込みます。

バスが誰もいないのに停車して……

気さくで人のいい運転手さんのバスによく乗ります。
急ブレーキを踏むこともなく、赤信号をそのまま直進することもなく、
ヒヤリとした経験は全くないんですが、その日ばかりは
ちょっとびっくりしました。バス停に誰もいないのに、
バスが停車したんです。あれ? と思いました。

最初は時間調整かな? と思ったんですが……

そのとき、車内には私ひとりしか乗っていませんでした。
最初は早くバス停に着き過ぎて時間調整かなぁと思ったんですが、
運転手さんの声がけに、背筋が凍りました。
後ろのドアが開き、しばらくして運転手さんが大きな声でひとこと。
「乗らないんですか?」

慌てて窓の外を見るも、停留所には誰もいなくて

「え!?」と思いました。
慌てて窓の外を見たんですが、停留所には誰もいないんです。再び、運転手さんが、
「乗らないですか?」と声をかけていましたが、私には誰に話しかけているんだか、
さっぱりわかりませんでした。やがて、痺れを切らした運転手さんがドアを閉めてバスは発車。

それから三十分あまりが経過して、
私が降りるときに運転手さんは、こんなことを教えてくれました。
「私は昔から霊感が強くてね、見えないものが見えてしまうんだ。困ったもんだよ」と
嘆いていました。

思い切って、
「もしかして、さっき停留所に誰かいたんですか?」
と尋ねたら、
「うん、帽子を目深に被った髪の毛の長い女のひとがよく立っているんだよね……。
しかもいつも違う洋服を着てるから、霊だと、確信が持てなくてさ。
一応、霊じゃなかったら乗せなきゃいけないから、声はかけてるけど、
いつも決まって乗らないんだよ」

お、オシャレな霊なんでしょうか……?

ltnライター : サンマ雲