世間には大量の育児マニュアルが溢れています。気になり読んでみますが、子供だって大人と同じで人それぞれ、違いがあって当然ですよね。今回は、育児マニュアルに翻弄されてしまった友人の話をご紹介します。情報に振り回されず、ほどよい距離感で付き合っていきたいものです。

待望の妊娠を機に退職

これは私の友人から聞いた体験談です。私は38歳、もうすぐ1歳半になる息子と夫の3人暮らしです。

夫は外資系の会社で働いていて、出張は日常茶飯事。私の実家は車で2時間ほど、義実家は飛行機の距離なので頼ることもできず、いわゆるワンオペで頑張ってきました。結婚後も子供ができるまではバリバリ働こうと思いフルタイムで仕事を続けてきましたが、妊娠してからは悪阻もひどく、ようやく授かった子供を悔いのないように育てようと考えて仕事も辞めました。

真面目に取り組む性格があだに

私はどちらかというと何事にも真面目に取り組むほうでした。勉強も仕事は目標を立てて進め、納得がいくまで完璧にやりたい性格。もう少しテキトーでいいよといわれることもありましたが、手を抜くことが許せない頑固な性格でした。それは結婚してからも同様で、掃除や料理などほぼ全て私が一手に引き受けこなしていました。

それが、全く自分の思い通りにすすめることができない【育児】という壁にぶち当たってしまい、まさに育児ノイローゼのような状態になってしまったんです。

育児本に追い詰められる日々

妊娠してから何冊も育児マニュアルを購入し、色々なネットの情報をかき集めて予習をしてきましたが、いざ生まれてみると全く育児本と違う。用意したご飯を食べてくれない、寝る時間になっても寝てくれない……何故だろうどうしてだろうと悩む毎日。自分の理想や予定していたスケジュール通りに進まない育児に、どうすればいいかわからなくなり、なんとかマニュアル通りに進めようと奮闘する毎日でした。

公園で出会った大先輩ママ

ある日、日課にしている公園へのお散歩に出掛けた時のことです。その日は砂場に夢中になり、お昼ごはんの時間になっても帰らないと駄々をこねる息子。お昼の時間だからご飯を食べさせてお昼寝させなくては! と、ぐずる息子を無理やり脇に抱えて帰ろうとしたとき、年配の女性に声を掛けられました。「気のすむまで遊ばせてみたらいい。1日くらい昼ご飯を食べなくても昼寝しなくても大丈夫」と、息子ではなく私を落ち着かせるように笑顔で話しかけてくれました。
その女性の笑顔と優しい言葉に、私は息子を離して手で顔を覆い号泣してしまいました。

大先輩ママのおかげ

息子をそのまま砂場で遊ばせながら女性と話してみると、すごく辛そうな顔をしているのが気になり声を掛けてくれたと話してくれました。子育ては思い通りにいくわけがない。5人育てて全部違ったよ~と笑う女性のおかげで、マニュアル通りに子育てしないといけないという考えから開放されました。それ以降、育児本は参考程度にして、マイペースに育児を頑張っています。

ftnコラムニスト:karira