この世に生きる大人たちは皆、かつて子どもだったはず。ですが、大人になると子ども時代のことは忘れてしまいます。筆者の知人Aさんは、子育てを通じて再び子どもの見る世界を感じているそうです。Aさんが子どもを連れて歩くと見えるようになったという世界をご紹介していきます。

子どもを連れて歩くと時間がかかる

Aさんは2歳の子どもを育てるママ。子どもが生まれてからは子どものペースで生活するようになり、思うように動けないことも増えました。

1人で過ごしていたときは効率を求めていたAさんですが、子どもは効率なんて考えてもいません。大人の足なら5分で行けるところも、子どもを連れて歩くと30分かかってしまいます。そんな子どもとの暮らしにイライラさせられることも多いAさんですが、子どもが見せてくれる世界を気に入っているのだそうです。

「お花!」子どもが見る世界は美しい

Aさんが子どもと一緒に散歩していたときのこと、それまで順調に歩いていた子どもが急にしゃがみこみ、動かなくなってしまいました。

その日は時間に余裕があったので、Aさんも一緒にしゃがみこんでみました。すると子どもが「お花!」と言いながら、花を咲かせている小さな雑草を指差したのです。

それはどこにでもある雑草で、大人になってしまったAさんにとっては珍しいものでも何でもありません。しかし、子どもの目には素敵な花に見えているのでしょう。

「お花が咲いてるね」Aさんは子どもにそう話し掛けながら、この子の目から見た世界はきっと美しいんだろうなぁと感じました。

子どもにとって世界は新鮮

Aさんにとって30年生きた世界は、これといって目新しいものはなくつまらないものですが、子どもにとっては違います。

何もかもが新鮮で、見るものすべてに反応を示す様子は、Aさんの気持ちまで高揚させてくれます。

「ワンワン、ブーブ、にゃあちゃん!」

はっきりと記憶にはないけれど、自分にもこんな時期があったんだろうなとAさんは感じさせられます。子どもを育てていると、自分も子どもに戻ったような気がすることがある。そうAさんは話すのでした。

余裕を持って子育てを楽しみたい

子どもが教えてくれる美しい世界を楽しむためには、子どものペースでゆったりと歩くことが大切だとAさんは感じています。

Aさんは子育てしていてイライラしてしまうこともあるけれど、できる限り子どもが見せてくれる美しい世界を共に楽しみたいと考えているそうです。

大人になり忘れてしまった子ども時代を再び思い出させてくれる子育て。子どもを生むまでは感じられなかった新しい世界を、存分に感じてみたいものです。

ltnライター:安藤こげ茶