友達の彼を奪うのが好き
Aさんは当時20代独身。華やかな美人でスタイルも良いAさんは、気になった男性は必ず落とすので陰で「ハンター」と呼ばれるほどでした。
実はAさんには非常に良くない癖がひとつあります。それは、略奪癖。Aさんはもともと惚れっぽいうえに、友達から彼氏を紹介されるとすぐ好きになってしまい、友達から奪ってしまう癖がありました。
しかも奪っておいて関係は長続きせず、いつもAさんが他の人を好きになって別れを切り出すというパターン。
当然ですが友達から彼氏を奪うたびに友達が減っていき、Aさんのそばには親友であるKさんしかいなくなってしまいました。
Kさんとは小学校からの付き合いで、恋愛に破天荒なAさんを清楚でおとなしいKさんが見守っているような関係性で、Kさんは常々Aさんに「遊びの恋は長続きしないよ」と釘を刺していました。
運命の恋
恋愛が長続きしないと悩んでいたAさんは、「たまには人の彼氏じゃない人と付き合ってみたら」というKさんの助言を聞き入れ、合コンに参加をしてフリーの男性との出会いを求めることに。
そして出会ったのが、さほどイケメンではないものの、優しくて紳士的なひとりの男性でした。
Aさんはすぐその男性を好きになり、毎日LINEを送ったり食事に誘ったりと猛アプローチ。
「あの人が運命の人かもしれない」
Kさんにそういうと、Kさんは「やっと本気で好きになれる人ができたんだね」と喜んでくれました。
最初は戸惑っていたその男性も、Aさんからの猛アプローチに徐々に心を開き、Aさんは無事にその男性と付き合うことになりました。
「Aちゃん良かったね」
Kさんも大喜びで、心の底から祝福してくれました。Aさんは大事な親友であるKさんを彼氏に紹介し、休みの日には3人で食事や映画などに出かけることもよくありました。
彼氏の部屋にいたのは
そんなある日、彼氏を驚かせようとアポなしで彼の部屋にやって来たAさんは、衝撃の光景を目にすることとなりました。
「え…… なんで?」
合い鍵で彼の部屋のドアを開けると、キッチンに女性が立っていて、甲斐甲斐しく料理を作っていたのです。
「あ…… Aちゃん……」
その女性はAさんの顔を見て、さっと顔色を変えました。なんとその女性とは、Aさんの親友のKさんだったのです。
「どういうこと? ねえ、なんでKちゃんがここにいるの? 説明してよ!」
AさんがKさんに食ってかかると、その声を聞いた奥から彼氏が慌てて飛び出してきました。
「ごめん……もっと早く言わなきゃいけなかったんだけど。俺、Kちゃんが好きなんだ」
「そんな…… 」
「ごめんね、Aちゃん。3人で会ってるうちに、私も好きになっちゃって…… 」
Kさんは瞳に涙を浮かべて謝罪しました。Aさんはぽろぽろと涙をこぼしながらその部屋を出ました。
失ったものの大きさ
Aさんは一瞬にして、親友と大好きな彼氏の両方を失ってしまったのだと気づきました。まさか親友に彼氏を奪われるなんて。
しかし、それは今まで自分がしてきたことと何ら変わりはありません。ただ彼氏とKさんの様子を見ると、2人は今までAさんがしてきた遊びの恋とは全く違う、本気の恋をしていることがわかったのです。
「私も今度は本気で好きだったのにな」
Aさんは初めて、恋人を奪われる胸の痛みを感じたといいます。そして今まで遊びで彼氏を奪ってきた友達に、心から申し訳ないと思いました。
その後AさんはKさんとも彼氏とも会わないよう、遠くの街へ引っ越しました。風の噂でKさんと彼氏が結婚したと聞きましたが、Aさんの元に知らせが来ることはありませんでした。
信頼していた親友に彼氏を奪われるダメージはかなり大きいものだと思いますが、今までしてきたことを考えると因果応報であるとしか言えませんね。人のものを盗ってはいけません。いつかバチがあたります。
ltnライター:緑子