長く勤めている職場では、ある程度強めの発言権を持つようになることがあります。しかしそれを濫用していると、いつかしっぺ返しが来ることも。今回は私がパート先で出会った、職権濫用パートリーダーのお話です。
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やりたい放題のパートリーダー

当時私がパートをしていたのは、大手の雑貨チェーン店でした。主婦パートも学生バイトも沢山いるのに正社員は店長ひとりだけ。

その下には勤続10年というパートリーダーがいて、その人がかなり幅をきかせていました。

シフトを組むのがその人の役目であるため、年末年始やゴールデンウィークなどどんなに混む日でも自分だけ優先して休みをとったり、自分が出勤する日には仕事のできるパートやアルバイトを集めて自分がラクになるようにしたりと、とにかくやりたい放題。

また気に入らない新人アルバイトやパートには仕事を一切教えず、「全然仕事ができないのね」といびってやめさせることもありました。

パートもアルバイトも皆その人のターゲットになることを恐れて、腫れ物に触るように接していました。なんと店長ですら、もめ事を避けたいがためにパートリーダーには何も言えません。

そんな状態が続いていたある日、今の店長が異動して、新しい店長が来ることになりました。これでパートリーダーの天下が終わるかも! と密かに思っているパートも多かったようです。

新しい店長は……

新しくやってきた店長は若い男性。パートリーダーはアラフィフの主婦なので、きっと強く言えないだろうな…… とガッカリしたパートたち。

しかし意外にもこの若い店長ははっきりと物を言うタイプだったのです。
「〇〇さん(パートリーダー)、この日にこんなに沢山スタッフは必要ないですよね」
などと、パートリーダーのシフトにダメだしをしたり、「新人が居つかない店舗だと聞いてますので、研修は僕がやります」と新人とパートリーダーを極力遠ざけたりと、かなりグッジョブ。

「店長、どうして私にシフト作らせてくれないんですか!」
ある日、とうとうシフト作成業務から外されたパートリーダーが血相を変えて店長に詰め寄りました。

「ハッキリ申し上げると、信用できないからです」
「え……」
店長は深くため息をついて続けました。
「前からこの店舗の評判は聞いてました、新人が続かないしお客様からの不満も多いし。過去のシフトを遡って調べてみたら、せっかく採用した新人を全くシフトに入れずに、明らかにスタッフが不足している日もあるじゃないですか。こんなの認められませんよ」
「それは……その……」
「言い訳できないってことは、何か心当たりがあるんでしょ? せっかく採用されたのに働けないなら、誰だって辞めちゃいますよ、いびられてもいびられてなくても」
パートリーダーは真っ赤な顔で立ち尽くします。新人イビリが、どういう訳か店長にはバレているようでした。
「あのね、正直言ってパートリーダーとか必要ないんです。というか、〇〇さんはこの店に必要ありません。パートリーダーから降りて貰いますね」
店長の冷たい言葉に、そばで聞いていたスタッフは震えあがるほどでした。

その後パートリーダーはヒラのパートに戻りましたが、店長にきつく叱られたのがショックだったのかすぐに辞めてしまいました。

悪事はいつかバレるんだな、とよくわかった一件でした。

ltnライター:緑子