婚約者がいる身であるというのに、「独身最後の遊び」といって遊び相手を探してしまう人もごくまれにいるといいます。今回は婚約中でありながら合コンに参加していた私の友人、Kさんのお話です。

医師の彼と婚約中

当時20代だったKさんは私の学生時代からの友人で、とても華やかな美人でした。

学生時代から男子にモテモテで、合コンに行けば男性全員がKさんにアプローチするので、他の女性たちは蚊帳の外、ということもよくあるほど。

そんなKさんが見事、お医者さんの彼氏をゲットして、婚約をしたという話を聞いて、久しぶりにKさんに電話をかけてみました。私とKさんは仕事の休みが合わず、就職してから疎遠になっていたのでした。

「久しぶり! 婚約したって聞いたよ、おめでとう!」
「ありがとう! 結婚式は来てね」
そんな会話をしばらくしていると、Kさんがふと妙なことを言いだしました。

「それはいいとして、明後日の夜は空いてない? 合コンあるのよ、しかも相手は医者よ」
「え? Kちゃん婚約してるから合コンなんてダメでしょ」
「いいのいいの、独身最後なんだもん。パァーッと遊びたいのよ」
「そんな…… 」
偶然明後日の予定が空いていたので、Kさんに強引に誘われ、私も合コンに参加することになりました。

医師限定合コン

当日、私は早めにKさんと待ち合わせて一緒に合コン会場であるレストランに行くことに。Kさんが言うところによると、今日の合コン相手はインターネットの合コン相手を見つけるサイトで、「医師限定」で募集した全く知らない男性たちなのだそうです。

「今の彼もそうやって知り合ったのよ、だから安心して」
Kさんは誇らしげに言いました。
「なんで医師限定なの?」
「え、だってお金ありそうじゃん。遊ぶのにはぴったりでしょ、医者って遊び人多いし」
よく見るとKさんは全身をブランド物で固めていました。おそらく男性からのプレゼントなのでしょう。
「全く知らない人と合コンって、大丈夫なのかな……」
私は不安を抱えながら、合コン会場であるレストランに入りました。

自己紹介で……

男女ともにメンバーがそろったところで、合コンによくある自己紹介タイムが始まりました。お相手の男性たちは皆私やKさんと同世代くらいで、あまり遊んでいるようには見えない感じの良い人たちでした。

「じゃあ私から! はじめまして、Kといいます……」
Kさんが自己紹介を始めたところで、私の前に座っていた男性が突然「やっぱり!」と言って立ち上がりました。

「もしかしてと思ってたけど……、君〇〇(Kさんの婚約者)の婚約者だよな? なんで合コン来てるの?」
「え……人違いじゃないですか?」
Kさんはとぼけて見せましたが、男性はかなり怒っている様子。

「人違いな訳ないだろ、俺は〇〇と同じ医大で、親友なんだよ! 君の写真も何度も見せてもらってるし、結婚式にも呼んでもらう予定だ! なあ、一体どういうことなんだ?」
Kさんは黙り込み、その場には気まずい空気が流れました。

「こんなとこにはいられない、帰る!」
Kさんの婚約者の親友という男性は、そのまま店を出て行ってしまいました。

「なんかこんなことになっちゃったけど、とりあえず飲みましょ!」
そう言ってKさんがグラスを持ち上げました。しかし一番美人のKさんには婚約者がいるということがバレてしまったせいか、男性陣が意気消沈して合コンは盛り上がらず、終始しらけたムードで解散となりました。

その後Kさんは合コンに行ったことが婚約者にバレてしまい、大揉めに揉めたものの、無事に結婚。ウエディングドレス姿を見て、ほっとしたのを覚えています。

インターネットの出会いとはいえ、自分の知らないところで、どんな繋がりがあるかわかりません。やましいことはしないに限りますね。

ltnライター:緑子