子連れで歩いていると思わぬ親切に出くわすことがあります。今回ご紹介するAさんは、夏の暑い日にベビーカーを畳んで歩いていると、それを運んでくれる青年に出会いました。
だけど、その青年がベビーカーを持ったままどんどん歩いていってしまい……。「どこへ行くの?」と怯えるAさんが青年に連れられていったのはどこだったのでしょうか。
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ベビーカーに乗ってくれない子

Aさんは1歳の子どもを育てるママ。今日も子どもをベビーカーに乗せて散歩をしていると、子どもがぐずって泣き出してしまいました。抱っこをせがまれたのでAさんは子どもを抱っこしましたが、そうなるとベビーカーは邪魔になってしまいます。

そこでAさんはベビーカーを畳んで、子どもを抱っこしながら畳んだベビーカーを持ち歩くことに。季節は夏。暑い中、子どもとベビーカーを抱えて歩くのはとても大変でした。

「持ちますよ」声をかけてくれた青年

大変な思いをしながら歩いていたAさんを後ろから追い越していった青年がいました。1度は追い越していった青年でしたが、道を引き返してきてAさんに声をかけてくれます。

「持ちますよ、それ」

そう言うとAさんが答えるよりも先にベビーカーを肩からとって、Aさんの代わりに持ってくれたのです。若い男性からの思わぬ親切に驚きつつも嬉しかったAさんは、感謝を伝えありがたく青年の手を借りることにしました。

え? どこに行くの……?

「ちょっと、ついてきてください」

青年はそう言うとAさんのベビーカーを持ったまま、どんどん先を歩いていきます。何も説明されないままどこかへ歩いていくので、Aさんは少し不安になりました。

どこへ連れていかれるんだろう?
もしかして、何かの勧誘? やっぱりただ優しい人なんていないんだ……。

不安な気持ちになりながらもベビーカーを返してもらわなければいけないので、Aさんは青年についていきました。すると、青年が入っていったのは見知らぬビルでした。

青年の親切心

「こんなビルに入って何をされるの?」

怯えていたAさんに、やっと青年は説明してくれます。

「ここ、無料で休憩できる穴場スポットなんです。顔、真っ赤だったから休んだ方がいいと思って……」

暑い中、重い荷物と子どもを抱っこして歩いていたAさんは今にも熱中症になりそうだったようです。青年はそんなAさんの様子を見て、休憩所へと連れていってくれたのでした。

言葉が少なかったため少し怖い思いをしてしまったAさんでしたが、青年の真意を知ってとても嬉しくなりました。丁寧にお礼を言うと青年は気持ちよく去っていきます。

優しい青年と触れ合ったAさんは、我が子もあんな風に優しく育ってくれるといいなあと願ったそうです。

ftnコラムニスト:安藤こげ茶