初任給で憧れのレストランへ!
友人のA子は10年ほど前、就職を機に地方から東京へ引っ越してきました。大学までずっと地方で過ごしていたA子にとって、東京は未知で憧れの地。特に、オシャレなレストランには「いつか行ってみたいなぁ」と思っていたそうです。
初任給をもらった日のこと。A子は勇気を出して、ずっと憧れていた老舗の高級レストランに1人で行ってみることにしました。
しかし、緊張しすぎて……
ドキドキしながら当日を迎えたA子。持っている服の中で1番お気に入りのワンピースを着て、慣れないヒールを履き、いざレストランへ!
ところが、実際レストランに足を踏み入れると、そこには身なりの整った落ち着いた人たちばかり……。急に自分が子どもっぽく思えて、A子は一気に緊張してしまいました。
なんとか注文して料理が運ばれてきても緊張は増す一方。とても食事を楽しむどころではありません。その上、手元が狂って「カシャーン!」と床にフォークを落としてしまいました……。
もう帰りたい(涙)→助けてくれたのは?
フォークはすぐにスタッフが新しいものを持ってきてくれましたが、恥ずかしくて悲しくてA子は「もう帰りたい……」と泣きそうになってしまったそうです。
そんなA子の様子を一部始終見ている人がいました。A子の隣の席に座っていた年配の女性です。女性は、落ち込むA子に「私も昔はよくやったから大丈夫! それよりあなた、若いのにちゃんとした服装をして偉いわね、ぜひまた来てね」と声をかけてくれて、そのレストランの名物のプリンまでご馳走してくれました。
こんな上品な女性でも、私みたいな時代があったんだ……と励まされたA子。それからはリラックスして、プリンもゆっくり味わえたそうです。
A子はあとから雑誌で見て知ったのですが、女性はなんとそのレストランのオーナーでした。若い女性が背伸びして来てくれたことを嬉しく思って、A子のことを励ましてくれたのでしょうか。
まとめ
A子はそれ以来、たまに自分へのご褒美としてレストランを訪れることにしています。
10年たった今でも、そのレストランに行くと、初任給をもらった当時の初々しい気持ちを思い出せるんだとか。
そしていつか、自分も同じような若い人を見かけたら、あの時の女性のように優しくフォローしたいと思っているそうです。
ftnコラムニスト:藍沢ゆきの