母に無関心な思春期の子どもたち
A子さんには、中学生の娘と高校生の息子がいます。
夫は単身赴任中で、反抗期の真っただ中の子どもたちに手を焼いていました。
学校から帰宅後は「ただいま」の挨拶もろくにせず、自分たちの部屋に直行します。
しかも、A子さんが「ご飯できたよ」と声をかけても「今、お腹空いてないから」「友達と食べてきたから、いらない」とそっけない態度で、部屋から出てこないのです。
子どもに夕飯代を渡し、突き放す母
A子さんは毎日、急いで会社から帰宅しクタクタのなかで、夕飯を作り家事をこなしていました。
しかし、子どもたちはそんな母の姿を見ても「ありがとう」の一言もありません。
どんなに頑張っても感謝もされない日々に、虚しさが募っていきます。
そこである朝、A子さんはリビングのテーブルに500円玉を2枚置き「これから毎日一人500円ずつ渡します。これで、自分達で晩ご飯を済ませてください」と手紙を添えて出勤しました。
作りカレーで、母の帰宅を待っていた
次の日、A子さんが夜中に帰宅するとリビングのテーブルの上にカレーライスと手紙を発見しました。
手紙には長女の丸っこい字で「ママごめんなさい。昨日もらったお金で、カレーを作りました。食べてください」と書かれていたのです。
しかも手紙の下には、なんとシートマスクが置かれていたのです。
反抗期を、親子関係を見直すきっかけに!
子どもたちは、仕事も家事も頑張っているママの姿をちゃんと見ていたのです。
きっとママを少しでも癒したいと思い、一生懸命カレーを作ったりドラックストアの化粧品コーナーに行ったりしたのでしょう。
A子さんは、子どもたちからの思わぬ優しさに感激し、泣きながらカレーを食べました。
次の日から、子どもたちは食事の時間になると自分の部屋から出てきて、今では家族そろって夕飯を食べているそうです。
反抗期は、子どもの自立心の現れとも言われています。
親子の関係性を見直すきっかけとして、前向きにとらえると一層家族の絆が深まるのではないでしょうか。
ftnコラムニスト:広田あや子