離婚は結婚の何倍も手間と心労がかかるといいます。子どもがいればなおさらです。そんなとき、心強い味方がいてくれると助かりますよね。今回は、思わぬ場面で人の優しさに触れたエピソードをシングルマザーの友人が聞かせてくれました。

離婚が決まり、シングルマザーとして再出発することに

友人のA子は去年、夫の不倫が原因で離婚することになりました。
もちろん夫からの養育費の支払いはありますが、やはりそれだけでは暮らしていけないため、A子も数年ぶりに正社員として再就職することに……。
そうなると日中は子どもたちのことを家で見られないため、保育所に入園させることになりました。これは、その手続きのためにA子が市役所を訪れたときの出来事です。

思わぬ人に声をかけられ

離婚って本当に大変なことですよね。しかも、A子の場合は原因が夫の不倫。愛する人に裏切られたことだけでもショックなのに、生活も一変してしまうことになり、正直A子はかなり憔悴していました。

それでもなんとか保育園の申込みを終え、窓口のすぐそばにあるベンチで一休みしていると……「ちょっといいですか?」と、ある人が声をかけてきました。
それは、ついさっき保育園の申込みを受付してくれた市役所の女性職員でした。

本当は心細くて怖かった

職員の女性は「お節介でごめんなさいね、すごく参ってるみたいに見えたから……。ちょっとだけお話いいかしら?」と遠慮がちに話しかけてきて、A子が知らない手続きや、シングルマザーが受けられる支援などを親切に詳しく教えてくれたそうです。

夫の不倫発覚以来ずっと心が張り詰めていたA子は、不意に優しくされたことで緊張の糸が切れ、思わず泣いてしまいました。「私、本当はシングルマザーになるのが心細くて怖かったんです……」

「実は私も!」

そんなA子を、職員の女性は優しく見守っていました。
そしてひとしきり泣いて少し落ち着いたA子に、「実は私も数年前に離婚したシングルマザーなの! だからあなたのことが他人事とは思えなくて……」と言ったのです。

シングルマザーの先輩からの思わぬ手助けに、A子の気持ちがどれだけ救われたかは言うまでもありません。

まとめ

その後、A子は無事に子どもを保育園へ預けることができ、今は新しい生活に明るく向き合っているそうです。そして、たまに市役所の窓口を訪れては、あの時の職員の女性に近況報告しているんだとか。
辛いときには1人よがりになって周囲が見えなくなりがちですが、だからこそ人からの無償の優しさが余計に沁みますよね。

ftnコラムニスト:藍沢ゆきの