帰りが遅くなっちゃった! 夜道は怖い
Aさんが高校生だった頃、学園祭の準備に夢中になっていると帰宅が遅くなってしまいました。遠方の高校に通っていたAさん、同じ方向に帰宅する同級生はおらず一人で帰ることに。
電車に乗っている間はよかったのですが、問題は電車を降りた後です。最寄り駅は小さな駅で周囲には照明もなく、暗い道を家まで一人で歩かなければなりません。真っ暗な道を歩くのに心細さを感じつつも、Aさんは家までの道を歩き始めました。
もしかして誰かにつけられてる?
家までの道を歩き始めてしばらく経った頃、Aさんは自分以外の足音に気が付きました。最寄りの駅で降りたのはAさん一人だったはずなのに、後ろから足音が聞こえてくるのです。
「どうしよう……。怖い」
照明もない暗い道で、後ろから響く誰かの足音。怖くなったAさんは歩く速度をあげることにしました。ですが、後ろの人物もAさんと同じく速度を上げたのです。
「俺だよ! 俺」後ろにいた人物の正体
怖くなったAさんは走り出します。家までもう5分ほどという距離でした。全速力で走るAさんでしたが、後ろの人物も猛ダッシュで追いかけてきます。必死で逃げるAさんでしたが、ついに追いつかれ肩を叩かれます。
「おい! 逃げるな。俺だよ、俺」
声をかけてきた人物の顔を勇気を出して見てみると、なんとそこにはAさんの父親がいるではありませんか!
父親は娘が心配
「なんでお父さんがここに?」
びっくりするAさんにお父さんは理由を話します。Aさんの帰りが遅かったため駅まで迎えに来ていた父。Aさんが帰ってきたのを確認したが、反抗期の娘に声をかけるのがためらわれ、そっと後ろから見守っていたのだそう。
だけど、Aさんに気付かれ不審者と思われたため、追いかけて声をかけて安心させたかったと言うのでした。Aさんは本当に怖かったと話しますが、それと同時に父からの大きな愛情も感じたそうです。この件があってからは、反抗的な態度も少しだけ改めたとのことでした。
少し怖い思いもしてしまいましたが、父親の後ろからそっと見守ってくれる愛情に気が付けてよかったですね。
ftnコラムニスト:安藤こげ茶