不妊治療には、当事者にしか分からない苦しさ、辛さがあります。長年の不妊治療の末、子どもを持たない選択をする夫婦も少なくありません。
今回は「自分たちの意思で子どもを持たない共働きの夫婦」いわゆる【DINKs】の道を選んだ友人に話を聞きました。
ftnews.jp

結婚して5年。不妊治療もしたけれど

友人のA子は30代前半で結婚。年齢的な焦りもあり、すぐに子どもがほしかったのですがなかなか授からず、結婚3年目からは不妊治療も始めました。

最初はタイミング法から始め、徐々に人工授精、体外受精とステップアップしましたが妊娠できず。治療の辛さに、職場のトイレで1人ひそかに涙を流したこともあったそうです。

どうして私だけ? 何が悪いの?

不妊治療の辛さは人それぞれですが、A子の場合、何よりも辛かったのは「何が悪いのか分からない」という答えのない不安と、「どうして私だけ? みんなは普通に妊娠してるのに」という劣等感でした。

A子の夫も不妊治療に積極的でしたが、そんなA子をそばで見ていて、「もう治療はやめようか」と言ったこともあったんだとか。それでもA子はなかなか踏ん切りがつきませんでした。

不妊治療をしていた友人の言葉で決意

そんな時、不妊治療のクリニックで出会った年上の友人と話す機会があったA子。その友人は数ヶ月前に治療をやめ、今は夫婦2人の生活を楽しんでいます。

「不妊治療を続けようか迷っている」と悩むA子に、友人はこんな言葉をかけたそうです。

「子育ては旅行やスポーツと同じ。やりたい人はやればいいけど、やらなくても責められるいわれはない。やるかやらないかは自分たちで決めていいし、どの選択も間違ってないのよ」

A子はその言葉にハッとして、自分が「子どもを持つこと」に固執しすぎて毎日を全然楽しめていなかったことに気付いたのでした。

A子が選んだ道は

知らず知らずのうちに「子どもができない自分は他の女性より劣っている」「普通は結婚したら子どもを生むべき」という思い込みに縛られていたA子。
友人と会った2ヵ月後、ついに長年続けてきた不妊治療に終止符を打ちました。

子どもを完全に諦めたわけではありませんが、今は辛い治療はやめて、その分夫婦2人の生活を満喫しようと思ったんだそうです。

まとめ

もちろん、諦めずに治療を続けることが間違っているわけではありません。「そんなこと言われても、ほしいものはほしい」と思う人もいることでしょう。
不妊治療をする夫婦の数だけ葛藤や悩みがあり、その結果どのような選択をしたとしても、誰にも責められる筋合いはないのです。

それぞれの選択が尊重され、誰もが生きやすい世の中になっていけばいいですね。

ftnコラムニスト:藍沢ゆきの