飲食店で一緒に働いていた同僚が自分のお店を持ちました。すぐに行列ができる人気店となったのですが、あっという間に廃業。いったい何が起こったのでしょうか?
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同僚の独立

私の勤める飲食店は、オーナーが開発した手作りメニューが人気のお店です。オーナーはホテルや高級レストランで修行された経験の持ち主で、どのメニューも本格的でとてもおいしく、かなり繁盛しています。

キッチンで働いていた同僚は、とっても優しくて気さくな人柄でみんなに好かれていました。その同僚が仕事をやめて自分のお店を持つことになったのです。

コロッケだけがなぜか売れず

しばらくしてうちの人気メニューのコロッケだけが売れなくなりました。

おかしなこともあるんだなと思っていたある日、同僚のお店に行ってみました。同僚の店は大盛況で、目玉商品を求めて長い行列ができていました。なんとそこで見たのは、オーナーオリジナルのコロッケ!

見た目も味もそのまんま、オーナーが開発したものとそっくりでした。

まさかの完コピに驚き、同僚のしたことにショックを受けました。お世話になったオーナーが、丹精込めて開発したレシピを承諾なく使うなんて。

調子に乗った同僚の顛末

2か月ほど経った頃もう一度同僚のお店に行ってみると、あれだけ繁盛していた同僚のお店は開店休業状態になっていました。

なんと同僚はコロッケの爆売れを利用して原材料の質を下げたり、劣化した食材を使い続けたり。さらには前日の売れ残りまで売っていたのです。口コミは「パクリ」「おいしかったのは初めだけ」「まずい」といった悪い口コミで埋め尽くされていました。

誠意がない人は雇えない

さらに3か月後、同僚は廃業。そして私が勤めるお店にがしれっと同僚が面接にやってきたのですが、採用されることはありませんでした。

オーナーは完コピを責めることなく「お客様に誠意がないことをする人は雇えないよ」と一言。優しいだけでなく、伝えるべきことをビシッと言えるオーナーはかっこいいなと思いました。大切な時にきちんと筋を通せるオーナーの元で、一緒に働ける幸せを感じた出来事でした。

ftnコラムニスト:鈴木まさ美