年を重ねるに連れ、誰もが直面する「親の介護問題」。今では介護施設など介護の受けられる場が増えていますが、なかには自分の親を他人に任せたくないという考えの人も。今回はそんな夫のこだわりで義父の介護を一生懸命してきた妻のAさんが、義父の死後、報われるお話です。
義父の介護を押し付けてくる夫
Aさんは夫と結婚して15年。「子宝にこそ恵まれていなかったものの、2人でそれなりに楽しく過ごしていた」と当時を振り返るAさん。しかし、その頃ある問題が......。物忘れがひどくなってきていた高齢の義父がアルツハイマー型認知症と診断され、介護が必要になってしまったのです。
夫と相談するも、義父の介護はすべてAさんが行うことに。
介護に一生懸命のAさん
義父は温厚でAさんにも家族のようにやさしく接してくれていたので、「恩返しをしたい」と介護に勤しむようになったAさん。とはいえ、だんだんと幼児化する義父の体を支えて着替えや入浴を手伝うのは難しく、夫に何度も相談したといいます。しかし夫は「知らない人に任せたくない」の一点張りで、Aさんは腰を痛めながらもせっせと介護に励んだそう。その間、夫は口出しだけで、全く手伝う素振りをみせません。
義父の死後、遺言状にはまさかの内容が!
介護が必要になってから10年、夫と結婚して25年経った頃に、義父は安らかに亡くなりました。その後、遺言状を残していることが弁護士により判明。そこには、「財産はすべて介護をしてくれていたAさんに譲渡する」「息子が迷惑かけてすまなかった」「これからは好きに生きてほしい」と驚きの内容が。
「わたしのことを見てくれていた」とAさんは思わず涙したそうです。
夫と離婚し第2の人生を楽しむことに
慌てたのは夫です。ギャンブルで大損して相続財産を当てにしていたことが発覚し、これまでの恨みも募っていたAさんは、夫と熟年離婚することに。
「もうシニアと呼ばれる世代になってしまいましたが、ここから第2の人生を楽しもうと思います」と清々しい笑顔で話すAさん。義父の遺産を大切にしつつ、これからの人生を自分のために生きると決断したAさんに幸あれ!
ftnコラムニスト:一瀬あい