娘のピアノ発表会へ
先日、娘の通っているピアノ教室主催の発表会が開かれました。生徒さんは総勢50人ほどで、大きなホールを貸し切って行われました。
先生のご実家は代々ピアノ教室をしているという地元では有名な名家で、この教室に通わせたいとわざわざ遠方から通う子供もいました。大先生と若先生(大先生の娘さん)の2人で、生徒を割り振りして教えてもらっていました。
発表の出来次第で待遇が変わる?
発表会ではソロと連弾の2曲を披露します。
選曲は本人や母親、先生にお任せなどさまざまですが、みんな連弾よりもソロを重要視していて、4か月ほどかけて仕上げるという熱の入れようでした。
というのも、難易度が高い曲を弾く生徒や将来有望視されている生徒は大先生の指導を受けられるという噂があったんです。この発表会の成績次第ではその夢が叶うとあって、子供はもちろんお母さんたちのほうがやる気になっていました。
難しい曲に何度もつまづく女の子
発表会当日は、年齢の下の生徒から順に出演して、小学2年生のA子ちゃんが演奏を始めました。
しかし、緊張したのかある部分で何度も間違えてしまい、間違えるたびに最初からやり直します。
私なら、もうその部分は飛ばして先に進んでいいよと言ってしまいそうですが、A子ちゃんは泣きながら何度も挑戦して、10回目を超えても誰も助けませんでした。
中学生が弾くような難しい曲目で、さすがにこれは無理だと思うようなレベル。
明らかにお母さんにやらされてるんだろうなと思うような演奏でした。
しかし、客席の1番前に陣取ったお母さんはひたすらビデオを取り続け、先生はAちゃんに近寄ったり声をかけることもせず、次の生徒さんにアドバイスをしていました。
多分お母さんや先生から、間違えたら最初からやり直すようきつく言われていたのだと思いましたが、なんのフォローもないので可哀そうで見ていられませんでした。
予想外の人物が助けに
すると、客席で出番を待っていたと思われる男子高校生がステージに上がり、A子ちゃんの隣に。泣いているA子ちゃんに小声で何かを話すと、最初から一緒に演奏を始めました。
A子ちゃんはなんとか最後までミスすることなく弾くことができ、その男子高校生とステージ袖に掃けました。
そこで、先生とA子ちゃんを迎えに来た母親にお説教をしている声が聞こえました。
「こんな難しい曲を弾かせるなんてかわいそうです。ピアノってもっと楽しく演奏するもので、これではピアノが嫌いになっちゃいますよ。もっとこの子の気持ちを考えてあげてください。」
その男子高校生はコンクールで入賞したこともあるような力のある子だったらしく、先生も言い返せずにいました。
その後はわかりませんが、A子ちゃんのレベルにあった楽しいレッスンができているといいなと思います。大人ではなかなか言えないことをバシッと言える男子高校生がとても頼もしくて、かっこよく見えました。
ftnコラムニスト:karira