電車やバスに乗ったとき、お年寄りや体の不自由な方に席を譲るかどうか迷った経験はありませんか?「譲る・譲られた」両方が気持ちよくすごせるのなら、マナーとして美しいですよね。今回はこれを相手に押しつけた人と出会ったエピソードをご紹介します。
満員電車に乗ってきた、二人組のおじさん
2歳のわが子と一緒に電車に乗ったときのことです。
その日は、休日だったので電車はかなり混んでいました。
ある駅に到着すると、二人組のおじさんたちが乗車してきました。
発車ベルが鳴り、電車が動き出したときです。
さきほど乗ってきた二人組のうち、一人のおじさんが「若いくせに座ってる奴らどけ!」と車両に響き渡る大声で怒鳴り出したのです。
見ると通路に大きな荷物を抱えているおばあさんがいました。
近くにいた誰もが「あっ、あのおばあさんのことか」と分かったと思います。
その後、おじさんは何度も「おい!そこの若いの!」など脅迫まがいの怒号をつづけました。
すると、この状況にいたたまれなくなったのか、若い女性がおびえたように立ち上がり黙って移動しました。
大声でしゃべり続けるおじさん
女性がおばあさんに席を譲る姿を見て、おじさんも満足そうに笑みを浮かべています。
わたしは内心「あぁ、やっと静かになるわ」と安心しました。
するとなんと、そのおじさんが連れの男性と大声でおしゃべりをはじめたのです。
正確には連れの男性は、大声でしゃべる相方の話をただ黙って聞いているだけです。
「おいおい…連れなら注意してくれよ」と車内にいた誰もが感じていたでしょう。
車内はおじさんの大声が響き渡り、本当に不愉快でたまりませんでした。
おばあさんが迷惑おじさんをスカッと成敗
次の駅に到着しました。
席を譲られたおばあさんが、おじさんに向かって「あなたの声がうるさくて、放送が聞こえなかったわ。それに私はすぐに降りるから、ドアの近くで十分」と言って電車を降りていきました。
わたしは、おばあさんの去り際のセリフがカッコ良すぎて、心のなかで大きな拍手を送りました。
きっと周りの乗客も「よくぞ言ってくれた!」と思ったことでしょう。
その後、おじさんたちは次の駅で降りたのですが…。
駅に着くまでずっとしゃべっていました。
しかし、電車に乗ってきたときの勢いはなく、小声でモゴモゴしゃべっていました。
まとめ
筆者は、マナーは「みんなが気持ちよくすごせるようにお互いに配慮すること」でルールは「組織として守らないといけない決まり事」だと思っています。
今回出会ったおじさんは、マナーをルールだと信じて他人に押しつけたうえに肝心のマナーも守れない人でした。
どちらも、私たちが社会生活を営むうえでは欠かせませんよね。
無神経に相手を傷つけないためにも、マナーとルールの違いを使い分けることが大切ですね。
ftnコラムニスト:広田あや子