結婚してみたら配偶者がモラハラ気質だった、というのはよくある話です。モラハラ気質の人は地雷がよくわからず、そんなことで? と思うようなところで文句を言ってきたりしますよね。今回はそんなモラハラ夫に見事に制裁をした私の知人Tさんのお話です。
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結婚したら、モラハラ男だった

Tさんは当時、社内恋愛で営業成績トップの男性と結婚したばかり。旦那さんはとても仕事のできるイケメンで、女子社員の憧れの的でした。

そんな男性がどちらかといえばおとなしいTさんを選んだことを皆は意外に思っていましたが、「家庭的な女性が好きなんだ」という彼の言葉に納得する人が多かったようです。

「女性は結婚したら家庭に入って欲しい」という旦那さんの要望にこたえる形でTさんは寿退社。しかしそこから、結婚するまで隠されていた旦那さんのモラハラが始まったのでした。

「お前みたいななんのとりえもない女と結婚してやったんだから感謝しろ」「誰のおかげで新築の家に住めると思ってるんだ」「黙って言うことをきいていればいいんだ」などといった暴言を毎日浴びせられ、Tさんはすっかり弱ってしまいました。

外面だけは良い夫

ある日、旦那さんが会社の人を家に呼んでホームパーティーをすることに。Tさんは久しぶりに会社の元同僚に会えると喜んで、腕を奮って料理を作り、おもてなしをしました。
「ほんと絵にかいたような幸せな新婚生活ね!」
元同僚たちは新築の家やTさんの料理を褒め、旦那さんはいつも何も手伝わないのにここぞとばかりに料理や配膳を手伝い、良い夫を演じていました。

「ねえ、まだ子どもの予定ないなら、Tさんも夏休みに一緒にバス旅行に行かない?」
元同僚の中で一番仲の良かった女性がTさんに持参していたパンフレットを見せました。
「ツアーについてる料理がすごく豪華なのよ!」
「わあ、素敵ね!」
部屋の隅で楽し気に話し込むTさんを、旦那さんは冷ややかな目で見ていました。

皆が帰ったあと、片づけに追われるTさんが台所のゴミ箱で発見したのは、元同僚が置いて行ったバス旅行のパンフレットでした。
「お前はいいよな、毎日が夏休みなんだから。だから旅行なんて贅沢だろ?」
「ひどい……」
「何がひどいんだよ。汗水垂らして働いている俺をのけ者にして旅行なんか行く方がひどいだろ? お前みたいなただの金食い虫が、楽しそうにすんなよ!」
あまりの暴言に、Tさんは何も言い返せませんでした。

モラハラが加速して……

旦那さんのモラハラは、今まで旦那さんを可愛がってくれていた上司が異動になり、ヘッドハンティングでやってきた年上の女性の上司に替わったのをきっかけに、より激しさを増しました。
「女のくせに生意気なんだよ、あいつ! まあグズのお前よりマシか」
まるでストレス解消の道具のように、Tさんに暴言を吐く旦那さん。Tさんはただただ耐えることしかできませんでした。

しかしある日、状況は一変。風邪をひいて仕事を休んでいた旦那さんが二日ぶりに出勤すると、社内の雰囲気が変わっているのに気づきました。

何故か部署内の皆が、旦那さんを遠巻きに見てはひそひそと小声で話しているのです。
「なんだ?」
不思議に思った旦那さんが女子社員に話しかけようとしても、誰も目を合わせません。

「ちょっと来てくれる?」
上司に呼ばれ、旦那さんは首を傾げながら上司のデスクへ。
「何でしょうか?」
「これ、聞いて」
女性の上司はパソコンで何かのファイルを再生しました。
『誰が食わしてやってると思ってんだ! お前みたいなグズは黙って家事だけやってりゃいいんだよ!』
部署内に、旦那さんの大声が響き渡りました。
「これは……」
「一昨日奥様から届いた音声データよ。あなたってひどいモラルハラスメント夫なのね」
女性上司に睨まれ、旦那さんは何も言い返せませんでした。

実はTさん、旦那さんのモラハラを元同僚の女性に相談していて、その元同僚がモラハラ発言を録音して送らせたのです。そしてその録音データは、女性上司がデスクで再生したことによって部署内の誰もが知るところとなってしまったのでした。

旦那さんが怒りながら帰宅をすると、家にいたはずのTさんはすでに離婚届を置いて出て行った後でした。

その後、録音データが証拠となりTさんは無事にモラハラ夫と離婚することができました。旦那さんは社内で「モラ夫」と呼ばれて居心地が悪くなっているとのことです。

モラハラ夫に制裁するなら、録音して証拠を残しておくのが一番効果的ですね。

ftnコラムニスト:緑子