ゴルフの打ちっぱなしへ
Aさんはその日友人と、人生で初めてゴルフの打ちっぱなしにいきました。友人が最近ゴルフを始めたらしく、Aさんも少し興味があったため、やってみようという気になったのです。
道具はレンタルし、友人に教えてもらいながら球を打つAさん。友人も初心者のため、お互いに何度も空振りしながら、初めてのゴルフを楽しんでいました。
突然声をかけられ……
「お姉ちゃんたち、そんなんじゃダメだよ!」
Aさんたちがゴルフを楽しんでいると、突然そんな言葉をかけられました。相手は、同じく打ちっぱなしに来ていた客。50代程度に見える男性です。
するとその男性は「もっとこういう感じでさー」と言いながら、Aさんたちに指南を始めます。
正直、楽しくゴルフをしたかっただけのAさん。教えたがりの男性に捕まってしまい、最悪な気分でした。
別の男性が登場
少し我慢すれば、男性はそのうちどこかへ行く……。Aさんはそう思っていたのですが、その期待は裏切られました。男性は1時間以上経っても、その場に居座り続けたからです。
しかしそこで状況が変わります。男性が「手をもっと前に出してさー」と言ったところで、「いや、もっと手前のほうがいいですね」と別の男性の声が聞こえてきたからです。
Aさんたちに教えていた男性は自分の意見を否定され腹が立ったのか、「あっ?」と言って振り向きます。
しかし威勢が良かったのはそこまででした。振り向いてその男性の顔を見た瞬間、「あ、いや……」と男性は急に狼狽し始めたのです。
男性の正体は……
Aさんたちも後から知ったのですが、実は声をかけてきたその男性、ゴルフの世界では有名なプロゴルファーだったのです。
当然、プロゴルファーの意見に逆らうことはできず、教えたがりな男性は「あ、あぁ……そうなんですね」と意気消沈。そのままどこかに行ってしまいました。
「ありがとうございます。助かりました」とAさんたちがお礼を言うと、プロゴルファーの男性は「あぁいう人たまにいるけど、ゴルフを嫌いにならないでね」と言って、ニッコリ笑って颯爽と去っていったとのこと。
Aさんたちはその日から、助けてくれたプロゴルファーの大ファンになったのだそうです。
どれだけ腕に自信があっても、さすがにプロの意見には逆らえないですよね。見ず知らずの他人を助けてあげるなんて、プロの鑑のような人です。
ltnコラムニスト:ふくろうクジラ