ママ友の夫はモラハラ傾向
私の息子はASDで、幼児期は療育センターに通っていました。そこで出会ったママ友U子さんは、顔を合わせるたびに夫の愚痴を話してガス抜きをしている様子。U子さんの夫は稼ぎが良いものの、マイペースな俺様気質。まだ1歳の娘を抱えながら5歳の息子の療育に奔走するU子さんに対して、夫は非協力的でした。
子どもの特性を理解せずに「うるさい黙らせろ!」と怒鳴る夫
療育が必要な子どもの育児はやることが多く、とても大変です。夫が「我関せず」な態度だとかなりイライラします。U子さんの夫の場合、関わらないだけではなく、子どもへの理解が全くありません。息子の特性を知ろうともせず、少し騒いだだけで「うるさい! 黙らせろ!」と怒鳴り散らすのです。
大声や大きな物音に敏感な息子は、夫の怒鳴り声に大きなストレスを受けてしまいます。夫が怒鳴った瞬間は静かになりますが、時間差で癇癪を起したり、ひどく疲れて動けなくなったりしてしまうのです。
委縮する子どもを見てママ友は療育センターに相談
次第に、U子さんの息子は夫が家にいると委縮するようになりました。夫が不在のときに見せる明るい笑顔とはまるで別人です。「これはまずい」と思ったU子さんは、療育センターの先生に夫と息子の関係について相談しました。すると先生から「旦那さんの時間があるときに、ここに連れてきてください。時間ならこちらが合わせますから。土曜日でも大丈夫です」と言われます。
U子さんは療育にはノータッチだった夫をなんとか説得し、療育センターに連れてくることに成功! 療育センターの先生は温和で礼儀正しく夫に接しつつ、子どもの特性について説明し始めました。しかも、独自資料を作成し「家庭でやってはいけないこと」をまとめてくれていたのです。
説教をされた夫はついに態度を軟化
「お父様ならすでにご理解されていると思いますが」と、持ち上げるふりをしてダメ出しを続ける先生。夫は持論を持ち出し反論しますが、発達の専門家は優しく論理的かつ簡潔に論破していきます。持ってきていたタブレットで質問に対応するエビデンスを提示することも忘れません。夫がぐうの音も出ないほど論破される姿を横で見ていたU子さんは、スカッと爽快な気分になりました。最後までさわやかな笑顔で対応する先生には脱帽です。
この件があってから、夫はついに態度を軟化させました。モラハラ気質が治ったわけではありませんが、突然子どもに怒鳴ることはなくなり、療育について興味を持つように。U子さんからお願いされると、多少ではあるものの家事育児を手伝ってくれることが増えました。夫が家にいても息子は笑顔を見せるようになり、U子さんはひとまず安心。夫の性格が簡単に変わるとは思えませんが、周囲の助けを得ながら家族関係を良好にしていこうと思うのでした。
ftnコラムニスト:ききた