最近いつもご機嫌な夫
結婚6年目のA子さん。A子さんは最近、夫がやけにご機嫌なことに気がついていました。
口笛を吹いたり、家事も鼻歌まじりに手伝ってくれたり、家で不機嫌な顔を見せることが極端に減っていたのです。
のんきで人を疑うことを知らないA子さんは「何かいいことがあったんだろうなあ」くらいに考え、これが夫の浮気のサインだとは考えもしませんでした。
ご機嫌から一転……落ち込む夫
なんだかご機嫌な夫との生活にA子さんが慣れた頃、夫の様子はこれまでとまるで違ってしまいました。
ある雨の日、帰ってきた夫は傘もささずに帰ってきたのでしょう。ずぶ濡れで「ただいま」を言うこともなく自室に引きこもってしまったのです。
「どうしたの?」「シャワー浴びたら?」A子さんが声をかけても無視する夫。A子さんは心配しながらも少し放っておいてあげようと考え、その日はそれ以上夫に声をかけることはしませんでした。
夜中にすすり泣く声……どうした夫
A子さんが夜中に喉が渇いたので水でも飲もうとリビングに行くと、そこには泣いている夫の姿がありました。
「夫くん! どうしたの?」
A子さんが驚いて声をかけると、夫はびっくり発言をします。
「彼女に振られた〜」
そう言うと、A子さんの胸に顔をうずめワンワンと声を上げて泣き出したのです。そこから先は、彼女との出会い、彼女のどんなところが好きだったか、彼女と別れてしまった理由……などをA子さんに語り始めます。
大好きな夫が打ちひしがれている可哀想な姿に、A子さんは「そうなんだね。それは辛かったねえ」などと相槌を打ち、背中を擦りながら話を聞いてあげます。
あれ…? 私も被害者だよね
A子さんはいつまでも泣いている夫を見ながら、ふと冷静になってしまいました。
「あれ? 私もたった今夫の不倫が発覚した可哀想な妻だよね?」
そう思うと涙がこみ上げてきて、気がつくと夫と一緒に泣いていました。思い切り泣きあった後はすっきりとしていて、夫の不倫に対しては「もうしないでね」と言ったくらいで大事にはしなかったそうです。
不倫相手に振られた夫を慰めるなんてシチュエーションはあってはならないものですが、目の前でなく夫がいたら慰めてしまうものなのかもしれませんね。
ftnコラムニスト:安藤こげ茶