同僚はマウンティング女
当時Oさんは、商社でOLをしていました。職場は同世代の女性が多く、一緒にランチをしたり旅行に行ったりと仲良く和気あいあいと仕事のできる同僚ばかり。しかしその中に1人だけ、ちょっと性格に問題のある同僚、Rさんがいました。
Rさんは美人でスタイル抜群でしたが、それを鼻にかけているところがありました。いつも上から目線で同僚に物を言ったり、男性からの貢ぎ物だというブランド物を見せびらかしたりとマウンティング三昧。その割に仕事が遅く、いつも他の同僚たちが尻ぬぐいをさせられる羽目になるので、正直職場での評判は良くありませんでした。
そんなRさんがめでたく寿退社することになり、Oさんは送別会の幹事を引き受けました。
「ごめんねー、私だけ先に幸せになっちゃって」
送別会ではRさんがまたマウンティングし、周りの同僚たちは皆渋い顔。しかし厄介者がいなくなってくれるのはありがたいということもあったのか、送別会はことさら盛大に行われました。
「式はハワイでするから皆は呼べないんだけど、その代わりに今日、彼にお迎えを頼んでるの! 皆に紹介するわね」と帰り際にRさんが言いました。
「へー、そうなんだ」
誰もRさんの婚約者にはさして興味はありませんでしたが、とりあえず紹介するというので顔ぐらいは見ておこうと思い、Rさんと一緒に待っていました。
現れた婚約者は……
「あ、来たわ!」
店の前に車が停まり、1人の男性が降りてきました。
「紹介するわ、私のフィアンセよ」
Rさんがそう言ってドヤ顔。確かに婚約者の男性はかなりのイケメンでした。しかし、彼の顔を見て一番驚いたのはOさんです。
「あ……」
Oさんと目が合い、婚約者の男性は少し驚いたような顔をして、軽く会釈しました。実はその男性、Oさんが就職したての頃に付き合っていた元彼だったのです。しかし、そんなことはRさんには言えません。Oさんはそっとその場を離れました。
その日の夜遅く、Oさんのスマホに電話がかかってきました。
「……なんの用?」
Oさんは電話に出るなり、そっけない態度。もう何年ぶりにかかってきたのでしょうか、その電話は元彼、現在Rさんの婚約者である男性からの電話でした。
「今日久しぶりに会ってびっくりしたよ、キレイになったな」
「あーそりゃどうも。ご結婚おめでとうございまーす」
Oさんは棒読みで言いました。
「実はさ、俺まだ結婚迷ってて……久しぶりにOちゃんに会えてさ、やっぱ俺Oちゃんを忘れられないって思ったんだよ」
「はあ!?」
「俺たち、やり直せないか?」
元彼の言葉に、Oさんはあきれ返ってしまいました。
元彼よ、お幸せに
「あんたねえ、結婚から逃げたいからって私を理由にするのやめてよ! 私たちがなんで別れたか忘れたの?」
「悪かったよ、でもあの時は若かったから……」
口ごもる元彼。Oさんと彼が別れたのは、彼の浮気癖が原因でした。
「Rさんとお幸せに! てかクズはクズ同士でくっついとけ! もう二度と連絡しないで、さよなら」
Oさんはそう言って電話を切り、すぐにその番号を着信拒否。
その後、元彼は無事にRさんと結婚したようで披露宴の招待状が届きましたが、Oさんは欠席に〇をつけて返送しました。
実はOさんの同僚も誰一人披露宴に出席せず、上司だけが義理で出席しましたが、新郎側も新婦側も参列者の少ない寂し気な披露宴だったようです。それだけ2人とも性格に難ありで、人望がないということなのでしょう。
ftnコラムニスト:緑子