「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言いますが、喧嘩中はヒートアップしてしまうこともあるでしょう。
今回は、義両親の仲裁役を押し付けられた知人女性の体験談です!

喧嘩してばかりの義両親

知人女性は、とても穏やかな性格の淑女です。
ですが彼女の義両親は「穏やか」という言葉には無縁の人達で、些細なことで喧嘩ばかりしていました。
自分達だけで喧嘩している分には、何も問題ないのですが、困ったことに義両親は喧嘩の度に知人女性を家に呼び出していたというから驚きです。

姑の放った言葉に絶句……

「また、夫がお皿を割っているの! 今すぐ来てちょうだい!」
その日も急に、そんな電話が姑から掛かって来ました。
「嫌です」とも言えず、しぶしぶ義両親宅に向かうと、2人は壮絶な言い争いをし、食器類を激しく割っていました。今日の喧嘩は特にハードなようです。
とはいえ、いつも2、3時間経てばお互いにケロリとしてお茶を飲んでいるのですから、もうこれはある一種のルーティンワークと言っても過言ではありません。
喧嘩をしている際、ずっと2人の横で「落ち着きましょう」「お義母さんのお気持ちも分かりますが……」などと言葉を掛ける知人女性でしたが、困ったことに今日は午後からパートがありました。
時計を見ると、そろそろ出発の時間だったので「パートなので、おいとまします」と言って知人女性が立ち上がると、姑は彼女に大声でこう言い放ちます。
「信じられない! 私達がこんな状況だってのに、パートに行こうっていうの? 嫁のアンタは、私達の言うことを聞いていれば良いのよ!」

聖女の顔も3度まで

この瞬間、知人女性の中で何かが弾けました。
とうとう、彼女の堪忍袋の緒が切れてしまったのです。
知人女性は「いい加減にしろ!」と言いながら、2人の間にあるちゃぶ台に「バンッ!」と強く足を乗せました。
予想外の行動に出る彼女を見て、口をあんぐり開ける義両親を前に、知人女性は静かに口を開きます。
「ええ。行かせて貰います。お義母さん達の夫婦喧嘩で、職場に迷惑を掛ける訳にはいきませんから! 金輪際、私をこんな下らない夫婦喧嘩に巻き込まないで下さい!」
そう言ってパートに向かう彼女を見て、義両親達は放心状態に陥っていました。
この件をキッカケに、義両親は知人女性に恭しい態度で接する様になり、夫婦喧嘩もしなくなったといいます。
「仏の顔も3度まで」という諺を、知人女性の豹変ぶりを前に2人は痛感したのでしょう。

ftnコラムニスト:六条京子