店長に可愛がられる同僚女子
知人女性の勤務先の書店には、店長にえこひいきされているAという27歳の女性社員がいました。
Aは見た目が可愛いのは勿論ですが、人に取り入るのがズバ抜けて上手かったのです。
事実、Aの優遇っぷりは半端なく、サービス業であるにも関わらず土日祝日は休みという契約をただ1人結んでいました。
その割に欠勤が多く、他の社員に迷惑を掛ける場面が多かったのですが、希望のコミックの持ち場を与えられ、特別手当まで受け取っていたというから驚きです。
「私~、自由に働きたいから~。だから、店長のご配慮には本当に感謝です!」
そう言ってハニースマイルを浮かべるAに、店長はメロメロなのでした。
店長が43歳だったこともあり、尚更、16歳年下のAに頼られると庇護欲が掻き立てられたのでしょう。
新店長が就任
その書店はチェーン店だったこともあり、数年ぶりに店長の異動が発表されます。
今度の店長は32歳のイケメンで、女性社員達は自然と憧憬の眼差しを浮かべていました。
Aもまた、新店長に上手く取り入ろうとし、自分のテクニックを駆使して接近を試みますが、どうも勝手が違います。
「え? なんで、君だけ土日祝日が休みの契約なの? おかしいでしょ? これからは、土日どっちかは出て貰うから」
新店長の言葉に、Aは絶句していました。
しかし、これはまだ終わりの始まりに過ぎなかったのです。
耐えきれなくなって自主退職
Aは何とかして、新店長に気に入られようと必死でしたが、寧ろ新店長は不真面目なAの態度に怒っていました。
「お喋りしている時間があるなら、手を動かしてよ! それに君、欠勤が多いから、特別手当も無しにさせて貰うね。」
特別手当まで剥奪されるなんて! そんなの耐えられない!
ここでAは必殺技である「女の涙」を発動させました。
「そんな......。だって私、お店の為に、自分なりに必死で働いてるのに......」
Aのシナリオだと、新店長は彼女の涙に胸打たれ、優しくなる筋書でした。
しかし、新店長はクールに突き放します。
「え? 何を言っているの? 必死で働いてるのは皆、一緒でしょ?」
この言葉を聞いて、Aもさすがに敗北を悟りました。
一回り以上年の離れた店長には効き目抜群のテクニックも、新店長には、けんもほろろだったのですから......。
こうしてAは書店を辞め、他の社員達もホっとしたそうです。異常な特別待遇や贔屓は、他の社員にとってやる気がなくなってしまいますよね。
定期的な人間関係の入れ替えが、時に良い化学反応を生み出すかもしれません。
ftnコラムニスト:六条京子