いつもの顔ぶれに会う時間
その店の常連のお客ともなれば、大体、何時くらいに見切り品が並べられるのか分かると思います。お店に行きはじめの頃は、いつ半額シールを貼るのか見当もつきませんでしたが、通っているうちに大体三時過ぎであることがわかりました。見切り品がほしい時は、そのくらいの時間を合わせて出掛けることにしました。
見切り品コーナーで挨拶を交わす
見切り品コーナーはそんなに広いスペースではないので、たまに押し合いへし合いになることもあります。この前はちょっと危険でした。お客さん同士が油揚げの取り合いをしていて、少し恐怖を感じたのでその場に近づけませんでした。そんなこともありますが、和気あいあいの日もあります。「こんにちは」とか「この豆腐美味しいですよ」なんて教えてもらえることも。
ライバル登場
ある日のことでした。半額の牛乳があったら買いたいなと思ってお店に行きました。
幸いにも残り一本。手をかけた瞬間、誰かの左手と私の右手がぶつかりました。「あっ」と心の中で思い、取り合いは嫌なので譲ることにしました。この前、油揚げの取り合いをしていた怖いおばさんだったので、「どうぞ」と言ってその場を去りました。
値下げの時間に遅刻したとき
そんなことがあった翌日。私はお昼寝で寝過ぎて、午後の三時に間に合いませんでした。
どうせもう牛乳は売り切れているだろうな、と諦め半分で店に自転車で向かいました。見切り品コーナーに早足で向かいましたが、牛乳は一本もなし。「やっぱり、ないか...」と諦めて帰ろうとした瞬間のことです。肩をたたかれました。振り向くと、昨日、私が牛乳を譲ったおばさんでした。「半額の牛乳、あんたが来るかもしれないと思って一本余計にカゴに入れてたんだよ。良かったら買いな...」
「あ、ありがとうございます!」
胸がじーんとした出来事でした。このおばさんとは牛乳を譲ってからとても仲良くなりました。
ftnコラムニスト:サンマ雲