女子がキャーキャー言うイケメンの先輩を見てもシラけるだけ
中二の時、「バスケ部にかっこいい先輩がいるんだ! 体育館に見に行こうよ!」
女友達からそんなお誘いがきても、いつも決まって、「いいや私は。図書館で本でも読むから」などと言って断ってきた。物心ついた頃から、私の心は男だった。だから同性の男子に興味など全くなく、どちらかと言えば、バレー部にいたかわいい女子の先輩を見に行きたかった。
この頃は女子が着なくてはならないセーラー服を着るのも苦痛で、我慢我慢の毎日だった。
大学在学中、自分と同じ障害を持つ仲間を探した
高校卒業後、私は私大に入学した。
難関大学ではないから、レポートに追われることなどなかった。空いた時間を見つけては、自分と同じ苦しみを持って生活をしている仲間をネットを通じて探し、交流を試みた。そうすることで少しばかりではあるが、心が落ち着くことができたのだ。自分だけがこんなに苦しいのではない、他にもいるんだ、という安心感が大きかった。
正直、結婚は諦めていた。だが……
大学卒業後は、クリーニング工として白衣や作業服などを洗う仕事に就いた。そこで、ある男性と知り合うのだが、その男性がまさかの、自分と同じ障害を持っていた。心は女で身体が男。私と趣味が一緒ですぐに意気投合した。アニメや漫画が大好きだと言う。食事に誘われ、
ドライブデートも何度かした。沈黙も苦にならないほど気楽に付き合える仲だった。
顔合わせを無事に終え、入籍
両親には顔合わせの少し前に、自分の障害のことを涙ながらにカミングアウトした。そんなに驚くこともなく、父親も母親も受け入れてくれた。ふたりとも「薄々気づいていたよ……」と静かに言ってくれた。そのあと、「結婚したいひとがいる」と告げたら、「そうか! 良かったな!!」と父親はすごく喜んでくれた。母親も泣きながら「よかったねー」と言ってくれた。
お互いの両親が反対することなく、私たちは籍を入れることができた。子供はいない。でも、
凄く幸せです!
ftnコラムニスト:サンマ雲