会社の同僚と結婚
これは友人から聞いた話です。
私は同じ会社で知り合った夫と、5年の交際を経て結婚しました。交際中はお互い実家住まいだったこともあり、手料理をふるまう機会もなく、ほとんど外食。私は料理をするのは好きでしたが、それほどこだわりはありませんでした。
義母から託されたレシピノート
義母は結婚してからずっと専業主婦で、1人息子の夫を大事に育ててきました。とくに食事にはこだわっていて、化学調味料はできるだけ使わずに天然素材の物を使うようにして、味噌やジャムなど作れるものは全て手作り。からだに良いものを日々研究し、自分の料理に絶対の自信を持っていました。
そんな義母から、結婚してすぐに義母特製のレシピノートを託されました。
「息子はこの味付けでこの調理法しか食べないの~♡」と渡されたレシピノートには、夫の好物の作り方が事細かに記載されていました。
その内容に驚いた私。なぜなら、そのレシピノートの味付けとは全く違う私の手料理を「美味しい!」と口いっぱい頬張る夫を見ていたからです。
さすがにそれを言ってしまうと嫁姑問題に発展すると思った私は胸の内にしまっておくことにしました。
勘違いした義母が激怒
結婚してから健康づくりのためにジョギングを始めた夫は、3キロのダイエットに成功しました。義実家に用事があったため夫が1人で顔を出すと、義母は”やつれた”と勘違いし、私がレシピ通りに作っていないからきちんと食事を摂れていないんだと激怒。
「そんな人に息子を預けられないわ!」など散々文句を言われました。
それから、義母から定期的に献立のチェックが入るようになりました。
レシピノートどおりに作っているかしつこく確認してくる義母がだんだん鬱陶しいと感じるようになり、ある作戦を考えました。
義母に反撃
「お義母さんに安心してもらうために」と我が家での食事に招待することにしました。
朝からキッチンに立ち、夫の大好物をたくさん用意して、義母の到着を待ちました。
時間通りやってきた義母は、「いい匂いね、ちゃんとレシピノート通りに作ってるのね」と言いながらダイニングテーブルの前にやってきました。
夫は待ちきれないといった様子で、「お腹減ったー! もう食べちゃうよ!」と料理を食べ始めました。美味しそうにがっつく姿を見て微笑んでいた義母ですが、並んでいる料理を見て表情が変わりました。
それもそのはず、義母のレシピとは全然違う料理が並んでいたからです。私が母から教わったりレシピ本を見て覚えた調理法で作ったものや、市販の調味料を使った料理を、夫は「うまーい!」と言いながら平らげていました。その様子を見て義母は愕然としていました。
その後
それ以降、義母は私の料理に関して口出しすることはなくなりました。
ちょっとやりすぎたかなとは思いましたが、放置しておくといつまでも”母の味”を強要されそうなので、これで良かったと思っています。
夫がなんでも美味しく食べてくれる人で本当によかったです。
ftnコラムニスト:karira