今回はそんな不倫ドラマに影響されて、不倫の道に走ろうとしてしまった私の友人Fさんのお話です。
不倫ドラマにドハマり
当時私とFさんは同じ職場で働いていて、Fさんは中学生の男の子を持つママでした。
「ねえ、昨日のドラマ見た?」
Fさんはその頃大人気だった不倫ドラマにハマっていたようで、いつも放送翌日には私にそう聞いてきました。
「いや、見てないけど……」
「なんで? すごく切なくてときめくよ!」
「そうなんだ?」
「うん、だから絶対見て!」
Fさんは職場の皆にそのドラマを観ることを勧め、中には録画したものをDVDにしてもらっている人も。私はあまり興味が持てなかったので、なんとなくあらすじだけはネットでチェックして、話を合わせていました。
不倫願望の果てに
ドラマの放送が終わった後もFさんはまだ不倫ドラマにハマっているようで、「なんかちょっと憧れちゃう」などと言い出すようになっていました。
「ダメだよ不倫なんか。優しい旦那さんいるのに」
「うん、でも最近ちょっと気になる人がいて…… 」
「えっ!?」
ある日Fさんと2人でお茶をしていると、突然Fさんがそうカミングアウトしてきたのです。
「相手は誰なの?」
「息子の担任のS先生……」
「絶対ダメなやつじゃん!」
「でも気持ちは止められないの! ねえ、これからちょっとついてきてくれない?」
Fさんはおもむろに立ち上がり、私の手を引いて店を出ました。
「どこ行くの?」
「中学校よ。先生に気持ちを伝えに行くの」
「やめた方がいいって…… 」
私が止めるのも構わず、Fさんは中学校に向けて車を走らせます。
急な告白
中学校に着くと、部活動をする生徒に紛れて1人背の高い男性が校庭で野球の指導をしているのが見えました。
「あの人がS先生よ。カッコよくない?」
「んー、よく見えない」
「じゃあ行ってくるから」
Fさんは急ぎ足で先生のもとに歩み寄り、先生を連れて用具倉庫の裏に行ってしまいました。
「あらら…… 」
私は特にすることもなかったので、Fさんが帰ってくるのをただ待つのみ。
しばらくすると、真っ赤な顔でFさんが帰ってきました。
「どうだった?」
「そんなことより息子さんの受験の心配してくださいって……」
「まあ、それはそうかも……」
どうやらかなり冷たくあしらわれたらしく、FさんはそれっきりS先生の話はおろか、不倫の話題も口にすることはなくなりました。
多感な時期の息子さんに、お母さんが担任の先生に告ったことが絶対にバレませんように! と願った出来事でした。
不倫はドラマだけで楽しむのが良いですね。
ftnコラムニスト:緑子