今回は子どもの前でタバコを吸うのをやめてくれない私の友人Hさんの義姉に、思わぬところから罰が下ったお話です。
タバコをやめてくれない義姉
Hさんは旦那さんと子どもとの3人暮らしでしたが、最近お姑さんを引き取って4人で暮らし始めました。お姑さんとの仲は良好で、子どもも優しいおばあちゃんによく懐いています。
そんな仲良し家族に、問題がひとつ。それは旦那さんのお姉さん、つまりHさんの義姉が度々お姑さんに会いに訪れるということです。
「お母さーん、また会いに来たわよ」
「ああ……いらっしゃい」
義姉はお姑さんの部屋にしている和室に入りびたり、上げ膳据え膳。Hさんに用事を言いつけて、まるで召使のようにアゴで使います。
それだけならまだしも、義姉の最大の問題点は、ヘビースモーカーだということ。目の前に子どもがいてもお構いなしに、スパスパ、スパスパ。電子タバコではなく紙タバコなので、義姉が来た日は家じゅうに臭いが広がります。
「お義姉さんすみません、この子ぜんそくがあるのでタバコは……」
Hさんがそう頼んでも義姉は全く聞く耳を持ちません。
「そんなの知らないわよ、子どもは子どもらしく外で遊ばせれば!? 」
「ちょっとあんた、ここはあんたの家じゃないんだから……」
お姑さんが注意しても、構わず吸い続ける始末。それが続いて、子どもは義姉が来たら和室から遠い自分の部屋へ避難するようになりました。
ビリビリで制裁!
「こんにちはー」
その日も義姉はお姑さんに会いにきて、和室でタバコをスパスパ。子どもが避難しようとすると、「なによ、感じ悪いわねえ」と悪態をつく始末。お茶を出しにきたHさんを見て、お姑さんが耳打ちしてきました。
「ちょっとHさん、後で廊下に出て来て」
「あ、はい……」
義姉がテレビに夢中になっている間に、Hさんはお姑さんと廊下で待ち合わせをしました。
「どうされたんですか? お義母さん」
「ふふふ……」
お姑さんはポケットから、ピンク色をした細長いものを取り出しました。よく見るとそれはタバコに火をつける時に使う、ライターのようでした。
「何ですか? これ」
「……ビリビリよ」
「ビリビリ? 」
「一緒に見届けて、Hさん」
「はあ……」
まだ事態がよく呑み込めないまま、Hさんはお姑さんに連れられて義姉のいる和室へ。そして義姉がトイレに立った隙に、お姑さんが義姉のライターと先ほどのビリビリライターをすりかえるのを見ていました。
「はあー、すっきりした。さて一服しよ」
帰ってきた義姉はいつものようにタバコを咥え、ライターをカチリ。
「ぎゃああああ!!! 」
義姉は大声をあげてライターを放り投げました。
「何これ!? 痛い!!! 」
「天罰だよ! 人の家でこんなにタバコ吸って! あんた自宅では吸わないんだって? ならここでも吸うんじゃないよ! 」
お姑さんはそう言って、義姉からタバコを取り上げました。Hさんは何が起こったのかわからず、ただぽかんとしていました。
「もう帰る! お母さんのバカ! 」
半泣きになって、義姉は帰っていきました。
「Hさんごめんね、苦労かけちゃって。これに懲りてタバコやめてくれたらいいんだけど」
「そうですね……」
お姑さんいわく、あのライターは、火をつけようとするとビリビリと電流が流れるグッズだそうでした。
その後義姉はHさんの家に来ても、ビリビリライターが怖くてタバコを吸わなくなりました。信頼している実の母にビリビリをくらわされたのがよっぽどショックだったみたいですね。タバコはマナーを守って吸いましょう。
ftnコラムニスト:緑子