イケメンと急に距離が縮まったら、ちょっと嬉しかったりドキドキしたりしますよね。しかし急に距離を詰めてくる人って、好意だけではなく実は何か良からぬ企みを隠しているのかも。
今回は急接近してきたイケメンにドキドキしていたら、思わぬ素性を隠していたことを知ってしまった私の友人、Eさんのお話です。
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公園で出会ったイケメン

Eさんはまだ小さい子どもと旦那さんとの3人家族。近くに公園があるマンションに引っ越したばかりで、はしゃぐ子を連れて毎日のように公園に行っていました。
その周辺に子どもが多くないせいか、時にはEさん親子だけが広い公園をひとり占め状態になることも。

「こんにちは!」
その日も2人だけで砂場で遊んでいたら、ふいに後ろから声をかけられてEさんは慌てて振り向きました。
「あ、こんにちは……」
そこに立っていたのは、すらっと背の高いイケメン。年のころはEさんより少し年下くらいでしょうか。サラサラヘアをなびかせて微笑むイケメンに、Eさんはにっこり笑いかけました。
「この公園で遊んでる子どもを最近見てなかったんで、なんだか嬉しくて声をかけちゃいました、すみません」
「いえいえ……このあたりにお住まいなんですか?」
「はい、実家がこのあたりで。子どもの頃ここでよく遊んだもんですよ」
「そうなんですね、うちの主人もそうなんです」
実はEさん家族、義両親の体調を気遣って旦那さんの地元にマンションを買ったのでした。
「もしかしたら幼馴染かもしれませんね! ご主人」
キラーン! と効果音が出そうなほど爽やかに微笑むイケメン。まだこの町に慣れていなかったEさんは、また会ったら色々この町のことを教えてください、と言ってちゃっかりイケメンと約束したのでした。

イケメンとの再会

それからというもの、Eさん親子が公園に行くと3回に1回くらいの割合でイケメンに遭遇するようになりました。

イケメンはよほどこの町に詳しいのか、ランチにおすすめの店や買い物に便利なスーパーマーケット、ドラッグストアのポイント2倍デーまで教えてくれるほど。

ただ旦那さんのいる時は遭遇しないので、Eさんは「もしかしたら私に惚れちゃって、旦那がいる時は出て来ないのかな?」なんて都合の良いことを考えていました。

「Eさん、今度ランチでもどうですか。お子さんも一緒に」
ふいにイケメンに言われ、顔を赤らめるEさん。
「ええ、まあ……考えておきますね」
その場はそうごまかしたけれど、家に帰ってからはドキドキのあまり落ち着きなく歩き回っていました。
「どうしよう、イケメンとランチなんて……ダメダメ、私は人妻なんだから! さ、家事しよ」
気分を変えようと思い切り振り上げた拳が旦那さんの本棚に当たり、バサバサと本が床に散らばりました。
「あ、これアルバムじゃん」
散らばった本の中に薄いアルバムを見つけ、Eさんは興味本位でそれを見てみることに。どうやらそれは旦那さんの大学時代の写真が入っているアルバムのようです。
「ん……?」
ぱらぱらとページをめくっていたEさんの手が、一枚の写真のところで止まりました。
「 どうして彼が……?」
今より少しあどけない顔で笑う学生時代の旦那さんの隣りには、あの公園のイケメンが写っていたのです。しかもその写真の入っている部分だけ妙に分厚く、どうやら他の写真が入っているようでした。
「ウソ……!」
Eさんは2枚目の写真を引っ張り出して、絶句。それはなんと、旦那さんとイケメンのキス写真だったのです。

旦那に追及!

「ねえ、この人誰?」
旦那さんが帰宅し、子どもの寝かしつけを済ませてすぐにEさんはイケメンの写真を旦那さんに突きつけました。
「この人によく公園で会うの。偶然にしてはおかしくない?」
みるみるうちに旦那さんの顔面が蒼白になっていくのを見て、Eさんは、「これはマジだな」と思いました。
「……ずっと隠しててごめん!」
「え、何を?」
旦那さんは苦しそうに、自分がバイセクシャルであること、イケメンは学生時代からの恋人で、今も時々会っていることを告白しました。
「多分あいつ、お前をたぶらかして俺と別れさせたかったんだと思う……」
「何それ!? ひどい!」
イケメンは旦那さんと違って女性が全く恋愛対象ではないので、Eさんに惚れているわけではなさそうでした。
「あんなキラキラした笑顔見せやがって……」
Eさんは旦那さんに聞こえないように呟きました。

その後、旦那さんはイケメンときっぱり別れたそうです。Eさんに隠れてイケメンに会うのは性別関係なく浮気であると自覚したのでしょう。
Eさんはイケメンと二度と顔を合わせることはなく、残念なようなほっとしたような気持ちだとのことです。

ftnコラムニスト:緑子