マッチングアプリを使えば手軽に異性と出会えるので、不倫目的で登録する既婚者も少なくはありません。しかしその手軽さが裏目に出て、大変なことになる場合もあります。
今回はマッチングアプリ不倫が仇になってしまった私の職場の先輩、Oさんのお話です。
ftnews.jp

マッチングアプリで二股

Oさんは当時結婚して15年目。小学生と中学生の子どものいる4人家族でした。パートには出ていたものの、子どもに手がかからなくなってからは昼間の暇な時間を持て余す毎日。
そんな日々の暇つぶしに始めたのが、マッチングアプリでした。

アプリではたくさんの男性からメッセージが来るので、適当にやりとりをしていれば充分な暇つぶしになりますし、ちょっと自分がモテているような気持ちも味わえます。

最初はやりとりだけのつもりだったOさんが、やりとりだけのドキドキ感では物足りなくなり、実際にアプリで仲良くなった男性と会うようになるまではそう時間はかかりませんでした。

既婚者を相手にするとバレた時に慰謝料を請求されてしまうことを考えて、Oさんのターゲットは独身男性。さらに平日昼間の暇な時間に会えるような勤務形態の男性に絞ると、アプリで知り合った男性の中では2人だけが残りました。

Oさんはその独身男性2人と実際に会い、そして2人とも同時に交際を始めたのでした。つまりは二股ですね。

独身男性が本気に

Oさんが付き合っていたのは2人ともバツイチで独身の男性。もう結婚にはあまり希望を持っていない人の方が気軽に付き合えそう、というのがその理由でした。

しかし2人が2人とも、Oさんの家庭的な魅力にどハマり。なんとOさんは2人ともに「旦那さんと別れて、俺と結婚してくれない?」と言われてしまったのでした。

「うーん、ちょっと急にお返事はできないかな。将来的にって感じでもいい?」
男性のどちらにもそう答えたOさん。もちろん遊びのつもりだったので離婚するつもりなどなく、ただ家族に隠れて不倫、しかも二股をかけているというスリルを味わいたいだけです。

家庭を維持しながらパートに出て、空いた時間にどちらの男性とも週に1回ずつ会うという不倫の生活はOさんにとってはハリのある日々でしたが、結婚をしたいと考えている男性たちには不満が溜まる一方だったのでしょうか。Oさんの不倫生活はここから崩れ始めました。

不倫相手のひとりが……

ある日、いつものように家事を済ませたOさんが不倫相手のひとりに会いに出かけようとすると、玄関先にひとりの男性が立っているのに気づきました。

「え……なんでここに!?」
それは今日会わない方の不倫相手の男性でした。住所などは全く教えていないはずなのに、とOさんは驚きのあまり固まってしまいました。
「調べたんだ、君のこと」
不倫相手の男性はそう言って、探偵からの調査報告書をOさんに突きつけました。そこにはもうひとりの男性と会っているOさんの写真がバッチリ。
「俺の他にもう一人いるって、本当? どっちが好きなの?」
「えっと…その……」
「答えられないんだね。俺は本気で好きだったのに……もういいよ」
不倫相手の男性は悲しそうに言って、報告書を取り上げて走り去りました。

とにかく住所がバレたのはマズい、とOさんがどうしようか悩んでいると、Oさんのスマホに今日会うはずだった男性からの着信が。
「もしもしOちゃん? なんか俺たちの調査報告書が送られてきたんだけど……もしかして旦那にバレた?」
「え、そっちにも!?」
「面倒なことになったら困るよ、円満離婚してくれるもんだと思ってたのに」
「そう言われても……」
「とりあえず俺、金ないし慰謝料とか無理だから! じゃね、もう連絡してこないでくれよ」
そう言われ、いきなり向こうから電話を切られました。

「なんなのよもう……」
そして再びOさんのスマホに着信。今度は旦那さんからでした。
「おいお前今どこにいる? 調査報告書が会社に送られてきたぞ!」
「え!?」
なんと不倫相手は旦那さんの会社にまで、不倫の調査報告書を送り付けていたのでした。

そして誰もいなくなった

その後、Oさんは2人の男性と不倫していたことで旦那さんに離婚届を突きつけられました。子どもたちにもすっかり呆れられてしまい、親権は父親へ。子どもに面会したいと言っても、全く聞き入れてもらえません。

さらには不倫相手のどちらとも連絡がつかなくなり、Oさんはあの平和で暇を持て余していた日々が嘘のように、孤独で寂しいひとりぼっちになってしまったのでした。

マッチングアプリでの出会いは手軽なぶん、別れも手軽に済まされてしまうこともあります。そんなお手軽な出会いのために家族を失うとは、あまりにも重い代償ですね。

ftnコラムニスト:緑子