自分を押さえつけようとしたけれど
同級生のA子は昔から教室で女子といるより男子とサッカーや野球をするほうが好きなタイプでした。
中高生のときもそれは変わりませんでしたが、思春期を迎えて周りの目も気になるようになり、なるべく普通の女子のように過ごそうと努力していたといいます。
しかし、押さえつければ押さえつけるほど、A子は「自分の性別は女子」という事実に違和感を募らせていきました。高校を卒業するころには、自分はトランスジェンダーなんだと完全に自覚していたそうです。
母親にカミングアウトを決意
家族との関係は良好でしたが、だからこそA子は大好きな母親にもカミングアウトできずにいました。
しかし、成人式を前に母親が振袖を出してきて「これ、お母さんが着てた振袖よ! A子も成人式にはこれを着てね」と嬉しそうに言ってきた時、「もうこれ以上お母さんを騙したくない……」と強く思い、カミングアウトを決意したといいます。
母親の反応は予想外のもので……
勇気を振り絞って「実は私の心は男性なんだ。だから成人式には振袖じゃなくて男物のスーツで行きたい……」と母親に告げたA子。
軽蔑され、悲しまれるかと思っていましたが、母親の反応はA子が想像していたものとは全く違いました。しばらく考え込んだあと、「正直に言ってくれてありがとう。本当はお母さんもなんとなく気付いてたよ。自分から言わせてごめんね。つらかったね……」と労ってくれたのです。
最高のプレゼント!
後日、母親からA子に「男物のスーツを無理矢理合わせても着心地が良くないだろうから、今のA子の身体にぴったりなメンズスーツをオーダーメイドしよう!」と提案が。
トランスジェンダーにも理解があるオーダースーツ専門店でスーツをオーダーして、A子にぴったりな素晴らしいスーツが出来上がりました。
母親はスーツを着たA子を見て「本当は自分の振袖を着てほしいと思ってた。でもそれでA子が幸せじゃないなら意味ない! スーツすっごく似合ってるよ」と言ってくれたそう。
まとめ
成人式当日、A子のスーツ姿を見た同級生たちは驚きつつも「格好いい!」と大絶賛♡
A子はこれをきっかけに、少しずつ自分らしい生き方を模索しているそうです。
ftnコラムニスト:藍沢ゆきの