義両親とは付かず離れずのちょうどよい距離感
「授かり婚」の私たち夫婦でしたが、夫はひとりっこだったので、義両親は初孫の誕生を喜んでくれました。
ベビーベッド、最新モデルのベビーカー、たくさんのベビー服など、いろいろと買い揃えてもらい、義実家との関係は良好でした。
いざという時に助け合える、付かず離れずの関係が心地よく、まさに「スープの冷めない距離」の関係。産後のたいへんな家事も、義母に頼めばおかずを作って持って来てくれたり、買い物に付き合ってくれたりと、よその家よりは、うちは上手くやってるんじゃないかなと、自負していました。
夫の態度に我慢の限界!義母に愚痴った結果「こんなはずじゃなかった!?」
少し問題があると感じていたのは、義母と夫との距離感です。義母から見ると、たったひとりのかわいい我が子ですから、親になった今、私にも息子かわいさはもちろん理解できます。
それにしても、夫はビックリするほど家事育児をやらないのです。子供ができたら変わるかな、と我慢していましたが、子供ができても、いろいろと手伝ってやってくれるのはむしろ義母のほう。夫は父親になった自覚がないのか、相変わらず何もしません。
私と子供が週末の里帰りから戻ると、なんと、家の中が汚部屋に…。部屋の散らかり具合と、溜まりに溜まった洗濯物の山を見た私は、とうとうブチ切れてしまいました。
「私が出産したばかりで戻ってきた日にも、アンタは家のこと何もやってなかった!あのとき私は出産後の傷がうずくなか、黙々と洗濯と掃除をやったけど、たった3日の里帰りでここまで汚部屋にするなんて、もう許さない!」
普段は温厚な私が怒り出したので、夫はビックリ。
慌てふためいて、家事をはじめる・・・かと思ったら、そのまま義実家に逃げ帰ってしまったのです。
ちょ、まてよ!これって誘拐でしょ!?
結局夫は、その夜は自宅に戻ってきませんでした。
月曜日の夕方、私は仕事が終わると、いつものように保育園に預けた子供を迎えに行きました。
ところが、息子はすでに保育園から帰宅したと聞いてびっくり。
園の先生の話では、義母が「今日は母親が仕事の都合で帰りが遅いので、お迎えを頼まれた」といって、息子を連れて帰ってしまったと言います。
・・・ありえないっつーの!
今ほど保育園のお迎えに関するルールが、厳しくなかった頃の話です。家族が「迎えを頼まれた」といえば、確認の電話もなしに引き渡してしまいます。子供が「おばあちゃん!」と言って寄って行ったら、信用もされるでしょうから、なおさら不審には思われなかったことでしょう。
それにしても、親に黙って子供を連れて行くなんて・・・誘拐じゃん!
親子で共謀!?結局自分の息子がかわいいのね・・・
頭に血が上った勢いのまま、私はその場で夫の携帯に電話を掛けました。
「息子はどこよ!?アンタの実家にいるんでしょ?」
電話を取った夫はまるで我関せずのように息子の居場所を言わず、しらを切りとおしました。が、電話の向こうでかすかに子供の泣き声がします。
義母!許すまじ!
私は義実家の固定電話にも鬼電を始めました。最初こそ電話を取った義母でしたが、相手が私だとわかると突然がちゃん!と電話を切りました。そして、何度掛けても結局出ません。
子供は取り戻しましたが、この一件から私と義実家の仲は破綻。完全にブチ切れた私は、保育園にも通報。もう二度と義実家の人間が保育園の敷地をまたぐことないように、徹底して取り締まってもらいました。
義実家の人間は、今では私のお許しなしには、我が家にも自由に出入りできなくなっています。まあ、大きくなった息子が自分の意思で祖父母の家に遊びに行くのは勝手ですけどね。
ftnコラムニスト:叶かなえ